第78話『水着』
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が、その結月本人が選んだのだから真意は定かではない。
「それじゃ、今日はこれにて解散!・・・って、途中まではみんな一緒だね」
「あ、戸部さんの家もこっち方面なんだ」
「そうですね。莉奈ちゃんの家とそんなに離れてません」
「てことは、俺の家ともそう遠くない訳か」
莉奈の家と離れてないならば、すなわちその隣にある晴登の家とも離れてない。入学式の日に一度すれ違ったことがあるから、方面は一緒だと思っていたが、まさにその通りだったようだ。まぁ知ったところで、遊びに行く訳では無いのだが。
「そうなりますね」
「なるほど…」
「どうした、大地?」
「いや、何でもない」
優菜の返答に、やけに考え込む大地。今の話に何か難しいことがあっただろうか。でもそれなら、大地より晴登の方が先に悩むと思うのだが。
「まぁ気にするだけ無駄か」
そう晴登は結論づけて、そのまま一行は自転車で帰路についたのだった。
*
自転車で走り始めて20分程経っただろうか。夕日が空を紅く照らし、一方で街灯がぽつぽつと灯り始めている。住宅街には入っているものの、晴登の家まではもう少しかかるといった塩梅だ。
「それでは、私はこの辺で」
そう言ったのは優菜。どうやら彼女はこの曲がり角で曲がるようだ。ここは晴登の町内の隣の町内だから、確かに彼女の家は遠くないと言える。
「ばいばい優菜ちゃん」
「じゃあね戸部さん」
「またねユウナ」
「はい、それではまた」
莉奈と晴登と結月が手を振ると、優菜も手を振り返す。そして別れを済ませた彼女は、そのまま曲がり角の向こうに──
「ちょっと待った。もう辺りも暗いから、俺が戸部さんを送るよ」
そう突然言ったのは大地だ。確かに、夕日はもう沈まんとしている。優菜の家の場所は詳しく知らないが、少なくとも晴登たちが家に着く頃には夜になっていることだろう。そんな中、女子中学生が1人でいるのはあまりよろしくはない。
「けど大地の家って逆方向──」
「しーっ、静かに。・・・どうかな、戸部さん?」
だがそもそも大地の家まで行くには、晴登の家を通り過ぎる必要がある。ここで曲がってしまっては、かなりの遠回りだ。
それを晴登が指摘しようとすると、大地はその口を手で塞ぎながら、優菜に訊いた。
「…そうですね、ではお言葉に甘えて」
「オッケー」
彼女は少し悩んだ様子を見せたが、すぐに承諾した。大地はその答えを聞いて、ぐっと親指を立てる。
そして、2人はそのまま曲がり角を曲がっていった。大地も一緒なら、こちらとしても心配は無い・・・のだが、
「…
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