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戦国異伝供書
第八十一話 朝倉合戦その五

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「城をじゃ」
「攻めますな」
「そして陥とす」
「そうしますな」
「そうする、ではまずはじゃ」 
 何といってもというのだ。
「このままじゃ」
「攻めていきますな」
「槍と弓矢で」
「そう続けていきますな」
「そうするとしよう」
 こう言ってであった。
 元親はあくまで槍と弓矢で戦っていった、兵達を突っ込ませず陣形を乱すことなく戦っていった。そうしてだった。
 敵が退いたのを見ると今度はこう言った。
「ではな」
「はい、城ですな」
「次は」
「そちらですな」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「そこを攻めるぞ」
「わかり申した」
「ではです」
「ここはです」
「その様に」
「ではな」
 こう言ってであった。
 元親は今度は朝倉城を攻めはじめた、この城攻めも。
 元親は敵の城の堀を見て将帥達に話した。
「浅い堀じゃな」
「浅いですか」
「敵の堀は」
「そう言われますか」
「うむ、然程広くもない」
 そうしたものだというのだ。
「だから夜のうちに埋めてしまうか」
「と、いいますと」
「どうされるのですか」
「一体」
「袋を用意してじゃ」 
 そしてというのだ。
「そこに土を入れる」
「そしてその土入りの袋を、ですか」
「堀の中に入れていくと」
「そうせよと言われますか」
「うむ、そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「夜のうちにそれをやってな」
「そしてですか」
「朝になればですか」
「そこを渡れる様にして」
「そして、ですか」
「そのうえで、ですか」
「城を攻めるとしよう、堀さえ渡ってしまえば」
 元親は笑みを浮かべて述べた。
「城は造作もあるまい」
「左様ですな」
「それではですな」
「これよりですな」
「その堀を埋めてしまいますか」
「そうするとしよう」
 こう言ってであった、そのうえで。
 元親は兵達に麻の袋を配りそこに土を多く入れさせた、そしてそれを夜の闇に紛れて敵の堀に向かって投げ込ませた。
 すると朝になるとだった。
 堀は多くの部分が土が入った朝袋で塞がれ渡れる様になっていた、元親はその状況を見て会心の笑みを浮かべた。
「これでどうじゃ」
「これで、ですな」
「敵の堀は意味がありませんな」
「渡ることが出来る様になりました」
「それではですな」
「これより」
「攻めるとしよう」 
 こう言ってだった。
 元親は朝から城攻めを命じた、堀が埋められてしまった城は造作もなく攻め入ることが出来本山家の軍勢はというと。
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