揺籃編
第十八話 休日
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同じハイネセンにいるんだし」
「よかった…!じゃあ准尉、頑張って下さいね!」
「ありがとう。エリカもね」
…ふう。
若いって素晴らしいな。色々と。
現実世界でも決してオジサンではなかった(と思いたい)が、やっぱり十代の恋愛は初々しいもんだね。
でもねえ、せっかくいい気分に浸っているのに、それを邪魔する奴ってのは必ずいるんだよな。
「これはこれはウィンチェスター先輩、お疲れ様です」
「おう、お疲れ様、フォーク候補生」
「先輩は彼女がいらっしゃるんですね。羨ましい限りですよ」
「君はいないのか?」
「…先輩のような余裕は有りませんからね」
「そうか。俺だって余裕はないよ」
「…嫌味ですか?」
「そうじゃないさ、余裕ではなく、心のゆとりを持つ事が大事だ、と言いたいだけさ」
「…私にはそのゆとりが無いと仰りたいのですか!?」
「そう見えるね。それが君の命取りになると思う」
「…不愉快です、例え先輩でも言っていい事と悪い事がある筈だ!」
「だろうね。でもそれを指摘してくれる人は居たかい?」
「……」
「これは、本心からの忠告だよ、アンドリュー・フォーク。軍人としてではなく、人間としてだ」
「…ありがとうございます。失礼します」
…ふう。同盟軍にしろ、帝国軍にしろ、信賞必罰は問題だな。
武勲を上げれば昇進する、当たり前の話なんだが、当たり前すぎやしないか?
不当に昇進させなかったり、悪事を見逃すのは確かにいけない事だ。だけど、当たり前すぎるのもなあ…。
組織のパイは決まっている。当然指揮官や参謀の配置の数も決まっているから、その中で苛烈な競争が行われる訳だ。
その結果、上昇指向の強い人間が生まれやすい。
武勲を上げる事が一番で、その他を省みない人間ばかりが増えてるんじゃないか?フォークはその一例に過ぎないんだろうな。同期であっても競争者、その上出来る先輩や後輩が居たら、フォークには悪いが、ああいう人間には気の休まる時間なんてないだろうな…。
そういう世界に俺はいる、と言われればそれで終わってしまう話なんだけどね。
…明日からの野営訓練に備えて寝るか…。
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