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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章〜黒の装者達〜
第2節「争乱へのシンフォニア」
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「これで搬送任務は完了となります。ご苦労さまでした」
「ありがとうございます」

岩国基地のゲート前にて、米軍から渡されたタブレットに判を押した友里は握手を交わす。

これにて、ソロモンの杖の搬送任務は完了。この後は、ウェル博士の手により研究が進む事となるだろう。

「いやー、良かったです。あの後はノイズもなく、順調な旅路で」
「そうだね。これなら、翼さんのライブにも余裕で間に合うよ」

翔やクリス、純と顔を見合わせる響。
特に響は、既に今夜開催される翼のライブが待ちきれないらしく、ウズウズと抑えられない気持ちを全身で表していた。

そんな四人を、ウェル博士が微笑みながら見つめる。

「確かめさせていただきましたよ。皆さんがルナアタックの英雄と呼ばれる事が、伊達ではないとね」
「英雄ッ!?わたし達が?」

ウェル博士からの賛辞に、響は自分を指さし、照れ臭そうに頭を?いた。

「いやー、普段誰も褒めてくれないので、もっと遠慮なく褒めてください。むしろ褒めちぎってくださ──あいたッ!?」
「このバカッ!そういうところが褒められないんだよッ!」

調子に乗ってもっと、もっとと手を振る響。
その頭に、クリスは溜息とともにチョップを叩き込んだ。

「痛いよぅ……クリスちゃん……」
「あはは……お騒がせします」
「フフッ、いえいえ。良いじゃないですか、年相応の女の子らしくて」

純は今日も変わらずどつきあい漫才を繰り広げる二人を見ながら、ウェル博士に頭を下げる。

だが、ウェル博士は特に気にする事もなく、ただ笑っていた。

「世界がこんな状況だからこそ、僕達は英雄を求めている……」

(ん……?)
(英雄、か……)

ウェル博士の言葉に、翔と友里は違和感を感じ取る。

その言葉は響達にではなく、博士が自分自身に言い聞かせているようにも見えたのだ。

英雄……その言葉について嬉々として語るウェル博士の様子には、何処か子供じみた落ち着きのなさが垣間見えており……。

「そう、誰からも信奉される、偉大なる英雄の姿を──ッ!」

一瞬だけ、その瞳には狂気の色が浮かんだように見えた。

「あははー、それほどでも」

しかし、他の誰もがそれに気付いていないらしく、響に至ってはその言葉を自分達への賛辞として受け取り、頭を?いていた。

「皆さんが守ってくれたものは、僕が必ず役立てて見せます」

そう言ってウェル博士は、恭しく胸元に手を当てた。

「その事なんですが……ウェル博士。一つ、宜しいでしょうか?」
「はい?」

先程より口を閉ざし、ウェル博士を観察し続けていた翔は、自分の仮説を立証する好機を見計らっていた。

(列車を降りるまで、下手な事は出来なかった。
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