第三章
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徹はシロを獣医に連れて行き自分から世話をはじめた、すると。
シロは何かと暴れ吐きトイレも中々覚えなかった、それで徹は手を焼いて言った。
「こいつ世話が焼けるな」
「猫はそうしたものよ」
すぐにだ、母は息子に言った。
「特に野良猫はね」
「これが普通なんだな」
「そうよ、だからね」
「こうしたものだって思ってか」
「世話していきなさい」
「わかったよ、しかしな」
「しかし?」
「こいつ俺に懐かない癖に」
自分の傍で偉そうに寝そべっているシロを見て言う。
「よく俺の傍にいるな」
「そうよね」
「ベッドにもよく来るしな」
寝ているその時にというのだ。
「何でだよ」
「それは懐いてるんでしょ」
「そうか?」
「懐いてるからあんたの傍に来てね」
「ベッドにもか」
「来るのよ」
「そうなんだな」
「それで一緒に寝てるのよ」
「俺の身体の上に来るけれどな」
寝ているその時にというのだ。
「それもか」
「そう、それもね」
「懐いてるからか」
「そうよ、それであんたいつも一生懸命世話してるけど」
「一生懸命でもないだろ、猫の世話のこと勉強してな」
猫の本を読んだりサイトを見たりしてだ、そうして言うのだった。
「やるのも当然だろ」
「そう言うのね」
「ああ、当然のことをやってるだけだよ」
「毎日そうしてるわね」
「大学とバイト以外することなかったしな」
それでとだ、徹は母に答えた。
「やってるんだよ」
「そうなのね」
「ああ、それじゃあ飯の時間だから」
「ご飯あげるのね」
「そうするな」
こう言ってだ、そしてだった。
徹は実際にシロにご飯をあげた、そのうえでだ。
シロの世話を続けていった、彼はいつもシロのことを考えてその世話をしていった。そうしているうちに。
シロのことがいつも頭の中にあって彼にどうするかを考えそのうえで彼の為に動いていた。すると猫の話を家族にも友人にもする様になり。
明るさ、かつてのそれも取り戻していった、その息子に母は言った。
「あんた前みたいにね」
「前って何時だよ」
「彼が死ぬ前よ」
「あいつのことか」
「その時に戻ってきたわね」
「今も引き摺ってるさ」
徹はその彼のことを思い出しつつ答えた。
「やっぱりな」
「それでもよね」
「今はシロがいてな」
「シロと一緒にいてね」
「シロの世話してるとな」
それでというのだ。
「そっちに考えがいってな」
「違うでしょ」
「あいつが死んだことばかり考えていたよ」
親友が死んでからというのだ。
「本当にな、けれどな」
「今は違うわね」
「シロのこと考えてるさ」
「そうよね」
「それでいいかって思う時もあるけれどな」
徹はここで顔に暗いもの
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