暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Online -Gun Sword-
Sword Art Online
prologue
[8/11]
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ったはずだ。唯一考えられるとすれば、ギアの発生する多重電界――あれには、使用者の脳の形状を正確に把握するための立体スキャン機能があった。それを使って顔のつくりや体格をスキャンし、再現した――? しかし、何のために? これは明らかなサービス提供契約違反ではないか。
そこまで考えたとき、重々しい金属音を響かせながら時計塔の巨大な二本の針がきっちりと重なった。正午、SAO正式運用開始の時刻だ。文字盤の下に設置された大小多くの鐘が壮麗な和音を奏ではじめ、同時にどこからともなく鳴り響くファンファーレ。いかにもRPGのオープニング然としたその重厚な旋律に、皆の顔が戸惑いながらも明るく輝いた。
広場の上空は無論青空ではなく上層部の底で覆われていたが、そのグレイをバックにSAOの凝ったタイトルロゴが光り輝きながら出現した。ロゴの周囲を派手なエフェクトの花火が彩る。周囲から湧き上がる歓声と拍手。とりあえず目先の疑問は先送りし、俺も両手を叩いた。この光景は、現実世界のイベント会場でも中継されているはずだ。 花火のエフェクトが終わると、ロゴの下部にこれまた輝く飾り文字で「Welcome to Sword Art Online World!!」というメッセージが表示された。一際高まる歓声。
不意にBGMと鐘の音がフェードアウトした。巨大なタイトルロゴが無数の光の粒となって消滅し、その中から新たなオブジェクトが姿を現した。ロゴと同じくらいの大きさで天を埋め尽くしたそれは、半透明の光で表現された人の顔だった。
これもオープニングセレモニーの演出の一部と誰もが思い、再び拍手が巻き起こった。だが、俺は打ち合わせようとした両手を途中で凍りつかせた。まだ若い男の顔。両の頬は削いだように薄く、半眼に閉じた切れ長の目の奥から表情をうかがわせぬ瞳が覗いている。
俺はその顔を知っていた。いや、俺だけではない。ほとんど全てのプレイヤーが知っていただろう。
アーガスSAO開発部長。ゲーム業界の風雲児。若き天才。彼を形容する言葉は両手の指でも足りない。つまり、このSAOをほとんど一人で企画し、開発した人物。茅場晶彦というのがその顔の持ち主の名前だった。
彼は、当時のゲーム業界最大のカリスマと呼ばれていた男だった。中学生の時に作成したゲームプログラムが大手メーカーから商品化されて大ヒットしたことにその伝説は端を発する。十八歳にして株式会社アーガスの開発陣に加わるや立て続けにリリースしたゲームはすべてそれまでの常識を打ち破る発想で世界中を熱狂させ、弱小メーカーだったアーガスを業界トップに押し上げる原動力となった。SAO発売時には弱冠二十六歳、大のマスコミ嫌いでも知られた彼は業界の生ける伝説と言ってもよい存在だった。ゲームマニアとして彼に傾倒していた俺は、その人となりをよく知っているつ
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ