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Sword Art Online -Gun Sword-
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て巨城アインクラッドへと降り立った。
アインクラッド第1層、通称基部フロアと呼ばれる直径十キロメートルの広大な空間の北端に、ゲームのスタート地点となる〈はじまりの街〉がある。街の中央には巨大な時計塔がそびえ立っている。SAO内では現実世界と同期して時間が経過するため、時計の表示する時間は東京の標準時間とまったく同じということになる。時計塔の周囲は中国の天安門もかくやという石畳の広場で、五万のプレイヤーはほぼ同時にそこに出現することになっていた。
光の世界を突き抜けて、前方からテスト中に見慣れた〈はじまりの街〉の風景が広がり、初期装備のブーツの靴底が石畳のリアルな感触を捉えた――と思った次の瞬間、俺はひと月ぶりのアインクラッドに降り立っていた。まず自分の格好を見下ろして、登録時に選択してあったとおりの革製のロングコート姿であるのを確認する。続いて周囲に続々と出現しつづけている他のプレイヤーの顔を見渡し――そして心の底からぎょっとした。
プレイヤーは、SAOのアカウント登録時に初期のキャラクターメイキングも済ませている。キャラクターの性別はプレイヤーのそれと変えることはできないが、体格や容貌は複雑なパラメータを操作することで自由に決定することができる。そうなればすこしでも見栄えのいいものを、と考えるのが人間の常であり、ベータテスト中はそれはもうありとあらゆるタイプの――恥ずかしながら俺を含む――美男美女で溢れたものだ。当然製品版でもその状況は再現されるものと思っていたのだが――。
周囲の人間の容姿は、その雑多なバリエーション、そして何より美形顔がろくに見当たらないという点において現実世界とまったく一緒だった。絶望的なまでの既視感。間違いなくそれはゲームマニアの大集団だった。眼球に頼らないギアのシステムゆえ眼鏡をかけている者こそごく少ないが――つまり初期装備で選択した者だ――、これはどう考えても……。
俺はあわてて腰に装備されたポーチの中をまさぐった。スタートキットと呼ばれる一連の道具の中から、無骨な金属製の鏡を引っ張り出す。おそるおそる覗き込むと、そこには予想したとおりの見慣れた顔があった。見紛うはずもない現実世界の俺だ。登録時に四苦八苦しながらパラメータをいじくってつくりだした御面相とは似ても似つかない。いや、顔だけではない。俺はベータの時の経験から、動きの違和感を少なくするために身長は現実と同じ高さに設定してあるが、当時の分身が持っていたしなやかかつ逞しい筋肉などかけらもない。
これはどういうことだ――!? 俺は混乱した頭で必死に考えた。見れば、他ののプレイヤー達も続々と鏡を睨んだり周囲を見回して呆然としている。アカウント登録時に写真提出の義務はなかった。仮にあったとしても、五万人分の顔を3Dオブジェクトで再現する時間など到底なか
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