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Sword Art Online -Gun Sword-
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rect Linkage Environment System、頭文字を取ってNERDLESと呼ばれる――の試作第一号機が日本のとある企業と大学の合同研究機関から産声を上げたのは二〇〇六年のことだった。
それまで、HMDとヘッドフォン、データグローブの組み合わせによるシステムが主流だった仮想現実系エンタテイメント市場が、この映像その他の信号を直接人間の脳に送り込む新技術によって席巻されるのは確実と思われた。数多の企業が共同研究に名乗りを上げ、最初は部屋ひとつ分もの体積があったNERDLES一号機が冷蔵庫程度の大きさの本体にまでダウンサイズされるのに二年。その翌年には早くも業務用の機械が発売された。さすがに恐ろしく高価な代物であり、アミューズメントセンターやリラクゼーション施設の一部に導入されたのみだったが。
NERDLESが提供する圧倒的な現実感、HMDや全方位型スクリーンなどものともしないリアリティは全国のゲームマニアを熱狂させた。大手ゲームメーカーがリリースしたNERDLES上で動く初のゲーム――対戦型ガンシューティングだった――は数時間待ちがあたりまえ、ワンプレイ三千円(!)のシロモノだったにも関わらず、全国五箇所の設置店では連日長蛇の列ができた。かくいう俺も乏しい金をやりくりしては並んだものだ。
そして二〇十一年末、満を持して民生用一号機が共同開発した各メーカーから発表された。コンパクトなヘッドギアと、光ディスクドライブを装備したこれまた小さな本体とで構成されたそれは、無理をすれば若者でも買える程度の価格だった。初期出荷分は予約もおぼつかないほどの人気ぶりで、俺も入手するのには相当苦労した。〈ナーヴギア〉という商標名を与えられたそれが届いた日の興奮は今でもはっきり覚えている。
新品のエレクトロニクス機器特有の匂いを漂わせた流線型のヘッドギアは、光沢のあるダークブルーの外装に包まれていた。前部には装着時に顔を覆う遮光シールドが装備され、後頭部から延髄部を包み込むようなパッドが伸びている。両脇からは二本のアームが伸びて顎の下で固くロックされる構造になっている。
使用者は無理のない姿勢でリクライニングできる椅子に座り(専用のシートも同時発売されたがさすがに買えなかった)、ゲームディスクを挿入し必要に応じてWANに繋がれた本体に、光ケーブルで接続したギアを装着する。ヘルメット内部の、柔らかいパッドに埋め込まれたたくさんの素子が多重の電界を発生させ、使用者の脳の、五感を司るそれぞれの部位――詳しく言えば、触覚は延髄、味覚と聴覚は脳橋、視覚は視床、聴覚は脳幹――と精密なリンクを行う。本体から送り込まれる視覚や聴覚情報はそのリンクを通して脳に流れ込む。
感覚器官から得た情報を整理・再構築して処理したものが人間にとっての「現実の環境」であると
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