暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Online -Gun Sword-
Sword Art Online
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金化してあるので、必要に応じて使ってくれたまえ――」
そこで茅場は不意に言葉を切り、誰かの声に耳を傾けているかのような気配を見せたが、数秒後、一つまばたきすると再び口を開いた。
「なぜ――。なぜ、か」
そこではじめて、上空に神聖なモニュメントのごとく顕現していたクリスタルのマスクが人間らしい表情を見せた。うすい唇がゆがめられた。欲しかった玩具を盗み出した子供のような笑み。
「私にとってこの状況は手段ではない。最終的な目的だ。この世界を作り出すためだけに私は――」
そこで言葉を切ると、茅場の顔はもとの陰鬱さを取り戻した。視線が再びこちらに向けられた。
「以上でソードアート・オンラインのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の――健闘を祈る」
半透明の光で描かれていた巨大な顔が、一瞬にして無数の星となって弾けた。茅場の姿はもうどこにも存在しなかった。光の残滓がきらきらと舞い散りながら消えていった。
聞き覚えのある音楽がどこからともなくフェードインしてきた。はじまりの街のBGMとして設定してある陽気なワルツだ。奏でているのはメイン商業区にいるNPCの楽団だが、音楽は街のどこにいてもかすかに聞こえるようになっている。気付くといつのまにか時計塔広場のまわりでは商人や住民のNPCがせわしげに歩きまわり、物売りの賑やかな声が広場に響いていた。職工街のあたりからはもうもうとした蒸気がいく筋もたちのぼり、剣を鍛える槌音がBGMに花を添えた。
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