逆さ磔の悪魔
シークレットボトム
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だよ」
深海の世紀。
今はそうやって振り返られる過去だが、当時は内地もまた国内情勢の維持という戦いをしていたのだ。
だからこそ内務省はマンモス官庁の位置にいる。
「内務省は自分達で艦娘を率いた部隊を組織しようとしていたほどだ。だからこそ私がここにいるわけで、内務省はまだ海軍を自分達の傘下に組み込むことを諦めていない」
「そんなの、防衛省が許すわけが」
「防衛省からしても悩みの種なんだよ、海軍は。左の連中は旧海軍を文字通り復活させて覇権主義に走ってるだのなんだの言いたい放題、右の連中は海軍と海自を併合して海軍に統一すべきだのなんだの言いたい放題、海軍という名前を堅持したことに恨み節すらある始末だ。それでも内務省に譲り渡すわけにはいかない、と抱え込む派閥が大部分だから防衛省の傘下に置いている状態だ。庇い立てしきれなくなったらどうなるか、わからんね」
と、内務省の古狐が言うのだからタチが悪い。
この古狐こそが海軍から一部でも艦娘を引き抜いて内務省が主導となる泊地を作っている、まさにその一号なのだから。
「ま、そんな世間話はいい。本題に入ろう」
そう言うと、壬生森はジャケットの内ポケットからカードキーと一組になった大量の鍵を出した。
「元帥、その立場にある者が持つ責任と最期の意志決定。それを今から引き継がねばならなくてね。ところが前任は身体を悪くしての引退だ。そこで、代理に私がこれを届けにきた訳だ」
見知らぬ大量の鍵、思い当たるようなものは1つしかない。
「禁忌の扉、ですか」
「その通り。元帥以外は誰にも立ち入れない、立ち入る時はその覚悟を持って立ち入る場所だ」
赤レンガ、鎮守府大本営にはある扉がある。
地下への階段の突き当たりに物々しく、古くからあるのに錆びひとつ凹みひとつ見当たらない金属の扉。
真ん中にはいくつも蓋が重なり、その鍵穴全てに強化プラスチックの蓋が更に施され、その蓋すらロックされて外せないという厳重さ。
壬生森は、その扉のロックを外すのに、まず階段の上にある通路の電灯を点けるスイッチパネルの四隅を叩いて押し込んだ。
そして、プラスチックの蓋を全て開け、鍵穴に鍵を差し込むのではなく、鍵穴のシリンダーそのものを掴んで回す。
「回す方向と、回す角度を間違うとまず鍵穴が使えない。覚えておけ」
そう言うと鍵穴のシリンダーを押し込む。
そしてようやく鍵穴に鍵を差し込み、鍵を開けていく。
そんな仕掛けをいくつも解いて、ようやく扉を横に滑らせて、中に入った。
「ランタンを点けておいてくれ」
持ってこいと言われたランタンを灯すと、壬生森は中にある扉をまたいくつも仕掛けを解いて開く。
それに連動して、今入った後ろの扉が閉まっていく。
それを何
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