第8章:拓かれる可能性
第237話「剥奪」
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りも強かったわ。能力の戻った私と、強くなった貴方の二人掛かりでも、明らかに押し負けていた。その上、貴方が飛ばした武器を返されていたもの」
「確かにな……」
あのままでは、確実に二人は押し切られていた。
優奈が攻勢に出たのも、一種の賭けだった。
「それに、あの弾幕は多分“性質”の一側面でしかない。本来はもっと……」
「……惨い、か?」
「そうね。あの場には善神らしき神と“天使”が散らばっていた。あの場にいた悪神の仕業なら……それに見合った“性質”がある」
弾幕ではならないような、あまりにも無惨な死体。
引きちぎられたり、抉られたりと、とても直視できるような様相ではなかった。
そんな“残酷さ”に繋がりのある“性質”を持っていると、優奈は推測する。
「っ、追いついてきた……!」
気配を察知し、悪神達が近くまで来ている事に気付く。
優奈が振り返り、すぐさまもう一度瞬間移動する。
「くっ、“性質”ね……!」
「はははっ!その通りだ!」
だが、逃げられない。
先程の結界とはまた違う、“性質”による効果が働いていた。
「逃げられないという“残酷な現実”だ」
「……なるほどね。あの“幽閉の性質”の悪神に倣ったって訳」
例えるのなら、逃げてもループして逃げられないと言った状態。
そんな“残酷な現実”を優奈達に与えているのだ。
これにより、再び優奈と帝は逃げられない状態に陥った。
「さしずめ、“残酷の性質”と言った所かしら?」
「くっ、ははは!その通り!一言一句間違えずに当てるとはさすがだ!」
凶悪な笑みを浮かべながら、悪神は笑う。
先程見た無惨な姿で倒れていた善神も、彼の仕業だ。
「普段は抽象的な部分しか扱ってなかったからなァ……。ああやって直接的な残酷さを示せるのは存外気持ちがいい」
「……どうりで、今の空間を突破出来ないのね」
この悪神は、直接的なものより抽象的な“残酷さ”に強い。
そのため、理力や“意志”を以ってしても逃げられなかった。
「ッ、帝!!」
「……!?」
その時、帝の背後から別の神が襲い掛かる。
優奈が咄嗟に庇い、その神を蹴り飛ばす。
「次から次へと……!」
さらに洗脳された神とその“天使”が帝の死角から襲い掛かる。
優奈は知らないが、性能が落ちているとはいえその神の“性質”は“暗殺”だ。
死角からの一撃一撃がギリギリフォローが間に合う状態だった。
「このっ……!」
そこで、帝が投影による剣の弾幕を張る。
これで少しは牽制になると、そう信じて。
「―――それを待っていた」
「……は……
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