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私には要も急もある 羽田涼子VS新型ウイルス感染症
私には要も急もある 羽田涼子VS新型ウイルス感染症
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の中で咳をしたことに端を発する乗客同士のトラブルで傷害事件が起きたと伝えていた。欧州では外出禁止令が出された国もある。感染者数、死亡者数は増加する一方だ。私は職もないし、資格や能力もない。共働きの実家もお母さんが働けない状況だから、家計は苦しいだろう。親を頼るわけにもいかない。私はこの先、どうにかなるかもしれないし、もうどうにもならないかもしれない。それでも、いまは幸せだ。目の前には結衣がいる。甘いドーナツと温かいコーヒーがある。いまのこの穏やかな気持ちの記憶を忘れなければ、大丈夫だ。
「あーあ、早く普通のいつもの生活に戻りたいな」
しばしの休息(戦いは続く)
× × ×
あとがき
この短編小説は、二〇二〇年三月一八日から一九日の二日間をかけて、日本在住の私が書いたものです。いま、私たちが置かれている状況を思い、小説という形で気持ちを吐き出したくなり、急に思い立って、勢いで書きました。登場人物は架空ですが、自分の体験や見聞きして感じたことを投影したつもりです。映画の小ネタが多いのは、単純に私が映画好きだからです(私自身は『ワイルド・スピード』の三作目も好きです。チョコレートのシーンは笑ってしまいましたが)。
非常に稚拙な作品です。小説と呼べるものかもわかりません。特に何かを強く訴えたいわけではありません。本作をお読みいただき、一つの読み物としてわずかのお時間でもお楽しみいただけたら、とても嬉しく思います。そして、こんなことを言うのは大変おこがましいですが、もし本作が何らかの行動のきっかけとなれば、これ以上のことはございません。それは、皆さんなりの表現行動であったり、品物の譲り合いだったり、周囲の人への優しさであったり、どこかへのご寄付だったり、日々の仕事や家事や勉強により一層打ち込むことであったり、日常の幸せをかみしめることだったり、様々です。そのどれもが皆さんにとっての、この世界的困難への戦い方だと思います。自粛や避難も、あるいはそうしないことも、すべてご自身で深く熟考された末の決断であれば、私はそれを支持します。
最後に、私が好きな映画から、ある台詞を引用させていただきます。
「よーく考えろ。そして、どうにでも好きなようにすればいい」
二〇二〇年三月 日本のとある街より
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