第二章
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「生きているんだから」
「それだけにですね」
「その子ちゃんと育てるんだよ」
こう健四郎に念押しをした。
「いいね」
「はい、それじゃあ」
「見たところ」
健四郎が抱いているその猫を見て管理人はこうも言った。
「その子はかなり苦労したね」
「寒い中で凍えていました」
「この季節札幌は特に寒いんだよ」
「だからですね」
「野良猫が生きるには厳しいんだよ」
「捨てたら絶対に駄目ですね」
「命を大事に思っているなら」
それならというのだ。
「絶対にだよ」
「そういうことですね」
「最後の最後まで面倒を見るんだよ」
「そうします」
健四郎も約束した、そして。
彼は猫との暮らしをはじめた、それで会社でもその猫のことを笑顔で話した。運送の仕事は札幌市内とその近辺なので会社にいることも多く同僚達に話をする機会もあったのだ。
この時彼は食堂で昼飯のコロッケ定食を食べつつ話した。
「レオって名付けたんだよ」
「それで、だよな」
「いつも可愛がっていて」
「昨日もか」
「昨日仕事帰りにおもちゃ買ってな」
そしてというのだ。
「それで遊んだんだよ」
「猫って動くものに飛びつくよな」
「虫とかにも」
「猫じゃらしとかにもな」
「そうするな」
「そうだろ、だからな」
それでとだ、健四郎はコロッケでご飯を食べつつ話した。
「先が丸い綿の猫じゃらしのおもちゃ買ったんだよ」
「それで猫の先で振ってか」
「そして遊んだんだな」
「レオ君の前で」
「そうしたら目を輝かせて」
そしてというのだ。
「すぐに飛びついたんだよ」
「そこは猫だな」
「猫の修正だな」
「完全にそうだな」
「ああ、よく食べるしよく寝てすっかり元気になったしな」
拾った時と比べて、とだ。健四郎はこうも話した。
「今日だってな」
「仕事から帰ったらか」
「またその猫と遊ぶんだな」
「そうするんだな」
「それが楽しみで仕方ないんだよ」
健四郎は満面の笑みで話した、だが。
そんな中で彼は仕事中怪我をしてしまった、運送の仕事をしている時に課目駄一輝という街のチンピラが飲酒運転をして信号を無視して彼のトラックと正面衝突してきたのだ、それでだった。
彼は命に別状はなかったが両足を怪我してしまった、右足首を骨折し左足に切り傷を作ってしまった。
それで彼は手当てを受けてから仕事仲間に言った。
「悪いな、暫く自宅療養だ」
「仕方ないだろ、相手は飲酒運転だ」
「しかも信号無視だったんだ」
「お前は全く悪くない」
「相手が酷過ぎる」
「相手は現行犯だったしな」
飲酒運転等で捕まったというのだ。
「保険も下りるんだろ」
「だから暫く休むんだ」
「ちゃんと労災も出るしな」
「休んでい
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