第七話
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かなり大きくてキラキラきれいな透明な塊りが数か所、石のタイルに円形に囲まれた部分にはめ込まれています。
「あれは水晶じゃ。水晶というのは常に微細な振動をしておって、独特の波を放射する性質がある。その波を利用してマナを反応させ、魔法を使うのじゃ」
「そんなことができるんだ!?」
「あの水晶をよく見てみぃ。細かい模様が刻んであるじゃろ?これが水晶の放射する波の形を変えるのじゃ。それによって魔法が発生するという訳じゃ」
へーへーへー。
「模様の刻み方次第で強力な魔法や複雑な魔法も実現できる。マリア殿の持っている簡易結界のペンダントも呪物の一種じゃな」
マリアさんのペンダントはすごく長ーい鎖が付いています。
普段はそれを何重かにして首にかけているんだけど、使うときは鎖を伸ばして地面に置いて大きな輪を作ります。
この輪の中に入っていると、周りからは気配を感じにくくなるのです。
「おおお。あれ?じゃあ呪物を使えば私でも魔法が使えるんじゃない?」
ビームの出る剣とか!重さのない鎧とか!
「ある意味その通りなのじゃが、呪物で実現できる魔法には制限も多くてな。持ち運べるようなものでは、ごく単純な魔法しか使えんのじゃよ」
「そっかー、残念」
そこへ魔王が首を突っ込んでくる。
「アルマ先生の魔法講座は終わったか?」
「うん、魔王よりずっと親切だった」
「そうかい、そりゃ良かったな。じゃあそろそろ出発しようぜ」
「はーい」
「転移門の真ん中の円の中に立てば、自動的に転移が行われるぞ。さて、順番だが……」
「一人ずつなのか?だったら俺が最初に行くぜ」
おお、ゴルガスさんかっこいい!
「二番目はワシじゃな。三番目は……魔王はマリア殿と一緒で良いじゃろ。それからエルマにヴィルゴースト殿で、最後に勇者殿」
「私が最後なんだ。この順番はどうして?」
「まずは俺とアルマさんで行き先の安全確保、勇者とエルマともくもくは残った側に万が一襲撃があった場合に備え、マリアさんと魔王は最後に残すわけにはいかないから真ん中、てところかな」
「なるほど……」
最後に残るのが一番危険なんですね。
……。
勇者ですから!
「じゃ、行ってくるぜ」
ゴルガスさんが転移門の真ん中に立つと、周りに設置された水晶が輝き出し、ゴルガスさんが光に包まれます。
そして一瞬強く光ったかと思うと次の瞬間その姿は消えていました。
「これがゴルガスさんとの今生の別れになるなんて、この時の私は思ってもみなかったのです」
「魔王、変なモノローグやめて」
続いてアルマさん、マリアさんと魔王、エルマちゃんが転移しました。
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