第六話
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して、しばらく一人にしてくれないか?」
なんだろう、魔王がこんな風に私に頼み事するなんて珍しい。
「いいけど、何するの?」
「いや、ちょっとな。初代勇者の墓ってやつをよく見ておきたいと思ってさ」
「……うん、いいよ」
私はおんぶ紐を外して背中から魔王を下ろすと石碑の前に座らせた。
「これでいい?」
「ああ、ありがとうな」
「ねえ、魔王」
「なんだ?」
「何か……うん、いいや。あっち行ってたほうがいい?」
「なんだよそりゃ……。どっちでもいいさ」
「わかった……終わったら、呼んでね」
「ああ……悪いな」
私は他の仲間たちのところまで戻ると、魔王がしばらく石碑を見たいと言っていたことを伝えた。
「へえ?魔王のやつ、どうかしたのか?」
「わかんないけど、初代勇者のお墓だしなんか思うところがあるのかもなーって」
魔王はじっと石碑を見ているみたいだった。
もしかしていつもみたいに聞こえないだけで誰かと話をしているのかな?
でもぐるっと見回してみたけれど、誰もそんな様子はなかった。
ヴィルゴーストさんは……あのモクモクの中なので、ちょっとわからなかったけど。
「おい、勇者」
魔王が呼んでる。
「もう終わった?」
「ああ、もう十分だ」
「わかった」
魔王のところまで行って魔王を拾い上げるとおんぶ紐で背中にくくりつける。
「ありがとうな」
「いいよ、このくらい」
少し残った違和感。
魔王はあそこでなにをしていたんだろう?
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