第五話
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士さんの視線がここにいる一人ひとりを舐めるようにたどって、私を睨みつけます。
「お前か……お前が魔王様を殺したのだな……!?」
ひぃ。
ゴルガスさんが私と紳士さんの間に割って入り叫びます。
「戸希乃《ときの》、ここは逃げるんだ!」
逃げられるなら光よりも早く逃げるところですけど、あいにく腰が抜けていまして……。
「どけっ!」
紳士さんが片腕を薙ぎ払うように振ると、ゴルガスさんは部屋の端までふっ飛ばされました!
「ゴ、ゴルガスさん!」
紳士さんは私のところまで歩み寄って、尻餅をついている私の胸ぐらをつかむとその目の前まで持ち上げます。絶体絶命、私史上最大のピンチです。二番目のピンチが王様の前だったっていうのは考えてみるとどうかと思いますが。
「わた、わた、私は押しただけで……」
「んんんんん!?」
地の底から響いてくるような声で紳士さんが私を威圧してきます。
ひぃ。
でもまた突然に紳士さんが魔王を振り返りました。
「……しかし魔王様……」
またまたしばしの沈黙。
突然今度は紳士さんが無言で私を手放したため、私はまっすぐ床に落下してお尻をしたたかに打ち付けてしまいました。
痛い……。
一方紳士さんは再び魔王に向かって跪《ひざまず》きます。
「魔王様、今一度申し上げます。どうかお戻りいただけないでしょうか」
しばしの沈黙。
「しかし……!」
その時紳士の背後に何かがすごい勢いで飛んできます。
「おうらぁ!!!」
「へぶっ!!」
飛んできたのはゴルガスさんのフライングドロップキックでした。
「よくもやってくれたな、このモクモクやろう!」
ていうかあの、ゴルガスさん!なんか血が!流血が!
さっき紳士さんに弾き飛ばされて壁に突っ込んだ時に付いたんでしょうか、なんかあちこち出血してますよー?!
「貴様よくも!!」
立ち上がった紳士さんも負けずに反撃します。
素手の殴り合いなのに破壊力が尋常でないように見えるのですが!
「あらあら、まあまあ」
「ああっマリアさん、なんか言ってあげてください!」
「男の子っていくつになってもヤンチャねぇ」
ちっがーう!
とにかく二人を止めないと、痛そうで見てられません。
あと死んじゃったりしたら大変です。
いえ……死んじゃうほうが大事かもしれません?どっちだろ?
「二人とも、もうやめてください!やーめーてー!」
するとお二人、こちらを向いて……。
「いやだね!!」
「ここで引けるか!!」
ひぃ。
戦闘再開。
野蛮すぎです!なんで話し合いとかで解決できない
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