揺籃編
第十七話 負けられない戦いがそこには有る
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、優勢なのに退いていくぞ。フォークの本隊の殲滅のチャンスじゃないのか?」
「そうだな…損害軽微、マイク本隊九千五百隻、フォーク本隊三千五百隻…本隊の戦いだけで見れば、自動撤退になってもおかしくない。何故後退するんだ?………そうか、判ったぞオットー。あいつ意地悪だな」
「どういう事だ?」
「いいか?一ラウンド目はマイクの完勝だ。何故フォークの本隊が六千隻しかいないと思う?ダゴンにマイクが居たもんだから、ダゴン殲滅戦を再現しようとしたんだだろう。分進合撃からの包囲殲滅、誰もが夢見るやつだよ。スクリーンに写っているのは敵発見後の戦闘の状況だけだから、フォークの奴が本当に殲滅戦を再現しようとしているなら、スクリーンに写ってない残り九千隻を二つに割って進ませている事になるだろ?」
「そうだな…じゃあ、マイクの奴も残り五千隻をどこかに隠してるのか?」
「多分、索敵に使ったんだろう」
「五千隻もか?」
「そうさ。多分マイクはずっとダゴンに居たんだ。動かない代わりに索敵網を密にしたんだろう。戦力はお互い同数、増援がある訳でもないしな。ダゴンに居れば、フォークが殲滅戦を再現するだろうと踏んだのさ。そしてこの場合、索敵網に敵のどれか一つでも引っ掛かってくれるだけで良かったんだ。一つは確実に位置が判るし、一万隻あれば見つけた一つは確実に減らせるからな」
「…でもマイクはその一つを殲滅せずに後退しているぞ?」
「意地悪だって言ったろ?オットー。フォークだって敗けられないんだ、お前が奴だとして、この状況で後退するマイクを追うか?」
「いや、追わない…戦力が足りないから残り九千隻と合流……そうか、判ったぞ。マイクの奴、居場所の分からない敵戦力を引き摺り出そうとしてるのか!」
「ご明察!」
7月30日 自由惑星同盟軍士官学校、戦術講堂 アンドリュー・フォーク
おのれ…中々やるではないか。だが奴は一万隻、こちらは六千隻だった、優勢なのは当たり前ではないか。しかし優勢なのに奴は何故退いたのだ?
『敵ガ後退シマス。ドウナサイマスカ』
「コンピュータ。敵が後退に見せかけて、追って来るこちらを逆撃にかけようとしているのではないか?」
『…ソノ恐レハナイト思ワレマス。現在ノ本隊残存兵力、三千五百隻デス。兵力差カラ判断シマスト、敵ガ後退ヲ偽装シテマデ逆撃ヲカケルトハ思ワレマセン』
そうか、その通りだな。しかしコンピュータと一人問答とは情けない限りだ、それでも首席か、アンドリュー・フォーク!お前は同盟軍の将来を背負って立つエリートなのだぞ!緒戦で負けたくらいで落ち込んでどうするのだ!
「コンピュータ、戦力を再編だ。妨害電波の影響外の宙域まで後退する。両翼の分艦隊には合流の指示を出し続けろ」
『了解イタシマシタ』
奴は一万隻だった。五千隻を索敵に当てて
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