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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第24話:歌をあなたに、演奏を君に
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ペンが床に落ちる音で我に返った彼は、ペンを拾う事も忘れてクリスに問い掛ける様に彼女の目を覗き込んだ。
だがクリスはそれを拒絶するように顔を背けると、彼に背を向け忌々しいと言う気持ちを隠しもせず歌を嫌うようになった理由を口にした。
「分かるだろ? アタシの歌は透のとは全然違うんだ。イチイバルにネフシュタン、それにソロモンの杖…………アタシの歌で出来る事なんて周りの物を壊すしかできないんだ。アタシの心を支えてくれた、透の歌とは違うんだよ!?」
「……!?」
クリスの答えに透は全力で首を横に振ると、ペンを落としていたことに漸く気付き急いで拾い上げ、殴り書きに近い勢いでメモ帳に文字を記しクリスに見せた。
〔そんなことはない。クリスの歌にだって人を支えることは出来る!〕
「──!? 何を根拠にそんなこと言えるんだよ!? 誰の所為で歌えなくなったのか忘れたのか!? アタシの所為だぞ!? アタシなんかを元気付けようとしたからだろうが!?」
珍しく透に対して怒気を込めて言葉を発するクリスに、透は困惑した目を向ける。
クリスの剣幕に気圧されながら、それでも透はクリスの歌を諦めきれず食い下がった。
諦められる訳がない。クリスの歌は、透にとっての夢でもあるのだから。
〔それじゃ、僕らの夢は? あの時誓い合った、歌で沢山の人を笑顔にしようって言う約束は?〕
透にとって、それが今までの生きる糧であった。クリスとの約束と夢を叶える事を胸に、ここまで来たのだ。
それがクリス自身にとって否定されるなど、彼にとっては死刑宣告にも等しい言葉であった。
「ッ!? 約束は……あたしも覚えてる。でも、もう駄目だ。壊す事しかできないあたしの歌じゃ、透の夢を逆に汚しちまう。だから…………ゴメン。約束は、守れない」
今度こそ透の頭の中は真っ白になった。指先の感覚が無くなり、ペンとメモ帳が再び落ちる。顔からは血の気が引き、呼吸はしているのに息が苦しい。
絶望している透の様子に気付いているのかいないのか、クリスは悲痛な面持ちで言葉を続けた。
「悪いとは、思ってる。約束、勝手に破って。でも、もう駄目なんだ。だから、約束の事はもう…………忘れてくれ」
そこまで言って、クリスは足早に部屋から出ていった。もう彼の前には居られなかったのだ。
今にも泣きそうになっている、透の前には…………。
クリスが出ていき1人部屋に取り残された透は、扉が閉まると同時にその場に崩れ落ちその場で静かに泣いた。声が出せなかったのはこの場合彼にとって幸いだっただろう。
もし声が出せていたら、きっと彼の慟哭はクリスの耳に届いていただろうから――――
***
それから数日の間、透のクリス
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