第三章
[8]前話
「いいご飯をあげたら」
「毛並みもよくなったな」
「そうよ、ずっと汚い子はいないから」
だからだというのだ。
「奇麗にしてあげればいいのよ」
「大事なのはそのことだな」
「そうよ、汚い子もね」
「奇麗になるな、誰でも」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「ララもね」
「毎日毛をブラッシングしてるしな」
「いいご飯もあげてるから」
「奇麗になるよな」
「絶対にね」
そのララそしてジュリーも見つつ話す、そして実際にだった。
ララは次第に毛並みもよくなって拾ってから数ヶ月もするとだった。
すっかり見違えた、拾った時からは想像出来ない位に奇麗になり毛並みもよくなった。香蓮はその彼女を見てまた勝利に言った。
「ララもね」
「本当に奇麗になったな」
「もう汚いなんて思わないでしょ」
「誰が見てもな」
「そうなれるの、どんな子でも」
最初どれだけ汚くとも、というのだ。
「お風呂に入れてあげてブラッシングしてあげて」
「いいご飯をあげるとか」
「そうよ、絶対にね」
ララ、そしてジュリーのブラッシングをしつつ勝利に話す。二匹共彼女のブラッシングを大人しく受けている。
「汚いからって邪険にしたら駄目よ」
「そうだな、けれどそう言えるなんてな」
勝利は自分に話す香蓮に優しい笑顔で話した。
「お前は凄いよ」
「そうかしら」
「皆最初の見た目で汚いって言って嫌がるからな」
「だからそれは最初だけだから」
「奇麗にするとか」
「皆奇麗になるのよ、じゃあこれからね」
香蓮は優しい顔でこうも言った。
「ご飯あげましょう」
「そうするか。ララ、ジュリーご飯だぞ」
「ニャア」
「ニャン」
ララもジュリーも勝利が言って立ち上がるとだ、すぐにだった。
嬉しそうな声をあげた、そして香蓮のブラッシングの後で勝利がキャットフードを入れたお皿の方に駆けていって美味しそうに食べた。ジュリーもララも奇麗な毛でありもう誰が見ても汚い猫達ではなかった。二人はそんな彼女達を見て目を細めさせるばかりだった。
汚くなんかない 完
2020・3・22
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