第6話
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「!?」
夢から覚める。勢いよく起き上がったことで、アナザービルドから受けた痛みがぶり返し、俺は軽く蹲る。痛みを紛らわすために息を吸ったり吐いたりしていると、やがて痛みも薄れていく。 眠気を飛ばそうと顔を拭うと、水気を感じる。 自分でも気づかない内に涙を流していた、ということだろうか。
それにしても。
「・・・・・・あれはなんだったんだ」
『・・・・・・君は、君の信じれる大切な物を、―――ることだ。オレに救えなかった者を、君が――』
俺の夢に出てきたアイツ。アイツはきっと、何か歯車の狂った未来の俺自身だ。 根拠は無いが、そんな気がする。
曖昧にそう結論付けて、俺は自分の置かれた状況を整理することにした。
──アナザービルドを撃破した後、俺は世界を救う事を掲げるレジスタンスに捕縛され、処刑するか否かで審議に賭けられた。大多数は俺の公開処刑を即座に行うべきだ、という意見だった。
勿論、可決されていれば今こうして呑気に寝床などには居ない。俺の処刑が見送られたのには、2つの要因があった。
1つは、琴音が俺の事を必死に庇ってくれたこと。
もう1つが、意外にもレジスタンスで最前線で指揮を執る壮年の男までもが俺の擁護に加担してくれた事だ。
男ーー『ジュンイチロウ』と呼ばれる青年には妹が居たのだが、妹がある日怪物ーーアナザービルドーーに襲われた事、そしてまた別の怪人ーー話を聞くにどうやら俺らしいーーが、自分を助けてくれた事を聞かされた。
最初は半信半疑聞き流していたが、俺がアナザージオウとなってボロボロになりながらも周りを庇って戦った事、そして妹があのお兄ちゃんだ! と説得された事で、信じる事にしたらしい。尚も苦言を零す隊員に、
「ヤツがホントに敵なのかどうか、今後のアイツの動向を見て判断すればいい」
この一言により、俺は条件付きでこの街に滞在する事を許された。 以前よりも自由は縛られはするが、命を取られないだけマシだ。
と、俺が起きた事に気づいた琴音が部屋へとやってくる。
「あ、アラタ君! おはよ」
「ああ、おはよ」
時計を見る。時刻は10時00分。部屋に刻まれたヒビから太陽の日差しが僅かに差し込まれ、街も市場らに活気が起き始める頃だ。
今日はレジスタンスの基地に来るよう招集されている。10時30分には始まると伝えられているから、琴音の自宅からレジスタンスのアジトまで、今から出れば間に合いそうか。
身支度を終え、玄関先まで来た所で、琴音はポツリと言葉をこぼす。
「・・・・・・そういえば、今日ジュンイチロウさんに呼び出されてるんだっけ」
「・・・・・・うん。だから今日は少し遅くなるかもしれない」
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