暁 〜小説投稿サイト〜
『Delusion』
『春』

[8]前話 [2]次話


春はスキじゃない。体感的にはキライじゃないけど、学生時代の春は大キライだった。初っぱなから呼び出しくらうのが厄介だった。

染井吉野がキライ。だからそもそも学校の桜はキライ。毛虫まみれの葉桜もイヤでイヤで苛々の原因だった。

其の下を必ず通らないといけないのが苦痛で耐えきれなかった。
上には生きた毛虫。下には踏み潰されて中身が飛び散った汚い死骸の毛虫。
拷問でしかなかった。

酔っ払って、だらしない理性が露呈し、其れも保たれずに本能に移り変わってく花見中のオヤジ連中。
そんな気色悪いオヤジの餌食になるのは慣れなかった。

幼い頃の事でさえ嫌なビジョンが鮮明に浮かび上がる春。どうにか幸福な記憶を植え付けれないかと足掻く。



[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ