第七幕その八
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「実は女の人にもあって」
「やっぱりそうなんだ」
「時々剃ってる人もいるわよ」
「そこは男の人みたいだね」
「ええ、だからね」
「女の人にお鬚があってもだね」
「私は不思議に思わないし」
クッキーはさらに言いました。
「ハトホル様に鬣があっても」
「おかしくないんだね」
「そう思うわ」
「恰好いいだろう?」
ハトホル女神は自分の鬣を右手で触りながら笑って言いました。
「この鬣は」
「うん、凄くね」
ボタンが答えました。
「恰好いいよ。それでね」
「それで。どうしたんだい?」
「ここにメジェド神は来たの?」
ハトホル女神に率直に言うのでした。
「それで」
「いや、最近は来てないよ」
ハトホル女神の返事も率直なものでした。
「あたしの祭壇にはね」
「そうなんだ」
「あいつは風来坊でね」
女神様は笑ってこうも言いました。
「もうこのピラミッドの中をね」
「歩き回ってるんだ」
「そう、だからね」
それでというのです。
「あたしのところに来たのはちょっと前で」
「最近はだね」
「来てないんだよ」
そうだというのです。
「だからあんた達が探していてもね」
「力になれないっていうんだね」
「そうさ、悪いね」
「悪くないよ」
ボタンの返事はあくまで率直です、何も包み隠さずそのうえで穏やかに言うのがこの子の言い方なのです。
「本当にね」
「そうなんだね」
「そうだよ、だって最近来てないんだよね」
「そうだよ」
「それは女神様の責任でないしそれで知らないのもね」
このこともというのです。
「女神様の責任じゃないから」
「悪く思わなくていいんだね」
「別にね」
「ならいいよ、じゃあね」
「それじゃあ?」
「これから飲むかい?」
ハトホル女神は盃を出してきました、古代エジプトのそれにはビールが並々と注がれています。そうしてそのビールを手に言うのです。
「お酒をね」
「ビールだね」
「ビールじゃなかったらジュースもあるよ」
神官の人達がジュースが入った杯を出してきました、見れば真っ赤でそれでいて透明感のあるジュースです。
「柘榴のね」
「柘榴のジュースは」
カルロスはそのジュースを見て女神様に応えました。
「結構ありますね」
「オズの国にはだね」
「はい、それで女神様もですか」
「ビールも好きだけれどね」
「この柘榴のジュースもですか」
「好きでね」
それでというのです。
「よく飲むんだよ」
「そうなんですね」
「私達は子供だからビールは飲めないわ」
トロットがこのことを断りました。
「お酒はね」
「じゃあアルコールの入ってないね」
「そうしたビールをですか」
「飲むかい?」
「それなら」
トロットは
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