第三話
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工業化が進んで大量生産ができなけりゃ成り立たないからな」
な、なんかまた難しいことを言いだした。
「そうなんだ……」
「わかってないだろ?」
「わわわわかってるよ !産業革命?とかの話でしょ?ちゃんと世界史の授業でやったもん」
「まあ大体あっているかな。そういうわけだから服はオーダーメイドが基本なのさ」
「へー」
あ、じゃあマリアさんに注文すれば、いろいろやってもらえるのかな。マリアさーん。
「で、できあがりましたのが、こちらになります!」
宿屋で完成した服をお披露目です。
観客のゴルガスさんも目を見張っています。
そこにあったのはそれは見事なドレスでした。
スカートは裾を大きく広げるひざ丈のフレアスカートで快活さと可愛らしさを表現しつつも、全体的に装飾は少なく落ち着いた雰囲気も醸し出しています。
フリルみたいな装飾は高価で使えなかったけれど、それが逆にシックな雰囲気を醸し出して見事なバランスです。
これならお城の夜会にだって行けちゃいます!
それにしてもマリアさんの裁縫の腕前はプロ級です。
サイズを測るのもメジャーとか使わず、手で体に触れていくだけです。
ちょっとくすぐったかったけど、おかげで体の微妙なラインにもフィットする完璧なドレスを仕立ててくださいました。
しかも仕事が超早いです。
昼頃に始めて日が落ちるころにはできあがってました。
「魔王、ゴルガスさん。どうよ!?」
「……」
「……」
二人とも、このドレスを前にして言葉もないようです。
「あー、勇者よ。一つ聞いてもいいか?」
ベッドの上に寝ている魔王が神妙な面持ちで切り出しました。
「はいはい魔王さん、ご質問はご起立の上どうぞー」
「いや、俺まだ自力で立てねーし。じゃなくてさ」
「はいはい」
「お前、その恰好で旅して戦う気か?」
動きやすい勇者向きの服が完成したのは翌日の夕方でした。
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