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勇者戸希乃を信じてほしい
第一話
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のなら……」

 なんですか?どうするんですか?
 謁見の間の誰もが私に冷たい視線を注いでいます。凍らないのが不思議なくらい。
 そして王様の半端ない威圧感を伴う沈黙に押しつぶされそうになります。

 それはほんの数秒だったんだろうと思いますが、一気に歳を取った気がしました。というか半ば走馬灯が見えかけました。
 なんか足元がグラグラし、天井がやけに高くなった気がし、世界がぐるぐる回っているような気がします。風邪をひいた時がこんな感じかな。



 結局私は王様の命じるままに再度魔王討伐の旅に出ることになりました。
 同調圧力。うなづくしかなかったんです。
 Noと言える勇者への道は遠いです。

 赤ちゃん魔王は王様に頼んで乳母さんをあてがってもらいお城において行こうかと思いましたが……

「ぎゃーーーーーん!!!」

 私から引き離そうとするたび赤ちゃん魔王、ギャン泣きしやがります。
 そのうるささと言ったら、もはやエリア攻撃兵器です。

 仕方なく乳母さんを伴っての旅立ちです。
 なんかもう色々不安しかありません。

 乳母さんの名前はマリアさんです。
 聖母様と同じ名前ですがこっちの世界では特に逸話はないそうです。

 お世話になっておいてなんですが、マリアさんはおばさんです。
 ウエストのサイズとか、あんまり気にしてません。
 線の細い儚げな美女とかそんな要素全然ありません。
 お料理や繕い物など家事全般が得意ですが、戦闘には参加しません。
 戦闘になると後ろで簡易結界を張って応援モードです。

「ほーら、ママが頑張ってるわよー」

「あうー」

 ママじゃないです。戸希乃《ときの》です。17歳で赤ちゃんができるようなことはまだしてません!


 でっかい鼠っぽいモンスター(たぶん雑魚)をやっとの思いで倒したけど、今までの生活で武器なんか持ったことのない女子をなんで勇者として召喚するのかな、あの王様は。

「ねえ魔王」

「なんだ?」

「魔物とかってあんたの支配下にあるんだよね?じゃああんたが命じれば戦闘を避けられるんじゃない?」

「どうだろうなぁ、俺の姿を見て魔王と認識できるかどうか。まあ威圧して追い払うぐらいはできるかもしれないから、どうしようもない相手の時はそうしてやるよ」

「私、基本的に戦いたくないんですけど……」

「でも修業はしておいた方がいいぜ?」

「もっと簡単にレベルが上がったりしないのかなぁ」

「レベルってお前……そんなのゲームの中の話だろ?お前のいた世界とは別物でもここはここで現実なんだよ。レベルだの経験値だの、そんなものあるもんか。ひたすら鍛錬するしかないんだよ」

「そんなぁ〜……」

 この時は
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