第一話
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を……」
それにしたって、歯もない口でよく喋ってるじゃないの。
「母乳だよ!母乳!赤ん坊の食事って言ったらそれに決まってんだろ?さっさと出せ!」
「母乳!?おっぱい!?」
「そうだよ!お前だって女だし、ちゃんとあるんだ……ろ……?」
魔王は私の姿を見て言い淀みます。おい、何を見て何を考えた?
「悪い、無理を言ったな。そんな様子じゃ……」
「ちょっと!何が言いたいのよ!」
「だってよ……。そんな真っ平ら……おい、まて!何拳を振り上げてるんだ!?」
たたたたしかに私のバストは決して豊かとは言えませんが……ていうかあまりメリハリのある方ではございませんが……ていうか関東平野とか相模平野とか足柄平野とか、地理の授業で先生に平野の名前だけは詳しいと言われるくらい、様々な平野の名前でからかわれるほど真っ平らですがコンチクショウ!
でもまだ17歳なのです!若いのです!可能性です!伸び代なんです!
それにバストサイズが女の価値だなんて考えには囚われないのです!ジェンダーロールからの解放なのです!
「さっきからぶつぶつ、お前怖いぞ……」
「伸び代だもん。未来の可能性だもん……」
「泣くほどかよ!?……まったく、悪かったよ。俺も無神経だった。謝るよ」
「ジェンダーロール?」
「いや、何言ってんだかわかんないよ。とにかくさ、泣き止んでくれよ……。そうだ!一度街に戻ろうぜ!そしたら俺の食えるものも手に入るだろ?な?」
「……そうね。あんたを王様の前まで連れて行けば魔王討伐成功だし、なんなら地下牢とかに監禁して放置すれば何もせずとも餓死と再生を繰り返して……」
「な!?お前、それ絶対勇者が言っちゃいけないやつだぞ!?」
「ふふふ……関東平野を愚弄するなんて、万死に値するわ……」
「ちょ、待てよ!おい、話を聞けってば!」
私は魔王をローブで包み掴み上げると、元来た道を戻ることにしました。
任務完了です、凱旋です、元の世界への帰還です。ヤッタネミ☆
「勇者よ、そなたは我を謀るつもりか?」
王様めちゃくちゃ御立腹です。なんか疑う余地なく風向きが悪いです。なんで?
「その赤子が魔王だなどと、世迷いごとを」
「いえ!嘘じゃないです!本当に魔王なんです!ほら、あんたも自己紹介して!」
「オギャー、オギャー!」
「こ、こら!赤ん坊のふりなんてやめて、ほんとのことを言って!」
「オギャー、オギャー!」
「つまらぬ演技でこの上まだ嘘を上塗りするのか」
「嘘じゃないんです!信じて!」
「オギャー、オギャー!」
「勇者よ……魔王が恐ろしいのはわかる。だが、だからと言ってそのような方法で逃れようと言う
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