仮初めから契りへ(IF純クリホワイトデー)
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学すら共にすることは出来ない。その間クリスの傍に純はいることが出来ないのだ。逆もまた然りである。
「クリス……覚えてるよな。昔、ここで俺が言った事」
「うん。純、王子様になるって、言ってた」
「そう、クリスだけの王子様。だけど、まだ口先だけだ」
クリスだけの王子様と言う言葉に一瞬頬を赤らめるも、その後に続いた口先だけと言う言葉にクリスは反論する。
「そんなこと、ない。純は、とっても素敵な、王子様だよ」
必死さを滲ませるクリスの言葉を、純は首を左右に振って否定する。
確かに立ち振る舞いなどは自他共に認める王子様となれただろう。
だが、彼が本当の意味でクリスの王子となる為には一つ欠けているものがあった。
「いいや、クリス。俺はまだ、クリスに王子様としての契りを結んでない」
「契り?」
「そうさ。王子様とお姫様は二人で一つ。でも今のままじゃただの幼馴染だ。だから……」
純はそこで言葉を区切ると、右手でクリスの左手をとってその場に跪いた。
そして左手を自身の胸に当てて、契りの言葉を口にした。
「俺、爽々波 純は雪音 クリスが好きだ。小さいころからずっと一緒だった幼馴染としてじゃない。一人の女性として、クリスを愛したいしクリスに愛してほしい」
彼の口から紡がれる愛の告白。
混じり気の無い純粋なそれを聞いて、クリスは呼吸も忘れて目を見開き彼の言葉に聞き入った。
「俺は生涯を掛けてクリスの王子様としてあり続ける。だからクリスも、本当の意味での俺のお姫様になってくれないか?」
ともすればそれはプロポーズとも捉えられかねない言葉。いや、彼にとっては正にプロポーズだった。
純にとって、愛すべき女性はクリスただ一人、それ以外の女性は尊重し慈しみこそすれ、心から愛することなどありえない。
雪音 クリスこそ、爽々波 純がこの世界で愛するただ一人の女性なのだ。
言いたい事を全て言い切り、純はクリスからの返答を待った。
どれほどそうしていただろうか、不意にクリスの頬を一筋の涙が流れ落ちる。悲しさからではない、嬉しさからだ。
一度流れ始めた涙は堰を切ったように流れ、それでもクリスは頑張って笑みを浮かべた。
「うん――! うんッ! わたし……わたしも、純が好き……ううん、大好き! 純が、王子様になってくれるなら、わたしも、純だけのお姫様になる!」
感涙を流しながらの返答に純は笑みを浮かべて頷くと、右手にとった彼女の左手の薬指にシロツメクサで作った指輪をはめた。
あの頃は意味をよく分かっていなかったが、今ならそれを理解した上でこれが出来る。
クリスもその意味が理解出来るからか、自身の左手薬指にはめられた指輪に頬を赤く染める。
「じゅ、純――」
クリス
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