仮初めから契りへ(IF純クリホワイトデー)
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美少年だ。ともすれば、互いに多くの男子女子にひっきりなしに言い寄られることもあっただろう。
だが実際には、この二人に言い寄る者は驚くほど少ない。常日頃から仲睦まじくしている二人の間に、割って入れる者が殆ど居ないのだ。全くいない訳ではないが、そう言う輩は大抵の場合身の程知らずか、二人の関係を知らない無知な者のどちらかであった。
そしてそう言った者達は、全員物の見事に玉砕した。
そんな状況下にあって、純にはある不安があった。
この春でクリスは共に通った中学を卒業し、4月からは女子高のリディアンに通ってしまう。
つまり、共に居られる時間が減ってしまうのだ。
勿論純はクリスの事を信頼しているので、目の届かぬ間にクリスの目が別の見知らぬ男性に向く事は無いと確信している。
自分だって、クリス以外の女性に心を奪われるようなことはしない。クリスも彼を信じてくれているだろう。
だがそれでも、離れる時間が増えると言う事実に不安……と言うか、欲求が抑えられなかった。
目に見えるものでなくてもいい。ただ只管に、彼女の心に自身の存在を強く刻み付けたい。
「出来た!」
そんな事を考えていると、クリスも花冠を完成させた。
思い出にある物よりもずっと綺麗な出来栄えのそれに、時間の流れを感じ純は笑みを浮かべる。
「見て、これ! 前より、ずっと綺麗に出来た!」
「あぁ、凄いよ。さ、クリス……」
クリスが作り上げた花冠の出来栄えを一頻り褒めると、純は彼女の頭に自身で作った方の花冠を乗せる。
その際クリスは彼が花冠を乗せやすい様に、少し頭を彼の方へ向けた。
それが終わると、今度は彼の番だ。
何も言わずにその場に跪く様にして頭を彼女に差し出すと、クリスは彼の頭にそっと花冠を乗せる。
互いにお揃いの花冠を被った純とクリス、その姿は正にあの頃の再現だ。
ただしあの頃に比べて、純の身長の方がクリスよりも高くなっている。その事に時間の流れを感じつつ、クリスは本題を彼に訊ねた。
「ところで、純。今日は、いきなりどうしたの?」
クリスがそう訊ねると、純は一度笑みを引っ込め真剣な表情で口を開いた。
「クリス、さ。この春からリディアンに通うんだよな?」
「うん、そうだよ。純は、来年アイオニアン、だよね」
アイオニアンは男子校でありリディアンの姉妹校。学区は近い為、途中までなら共に通うことも出来る。
だが結局、別々の学校に通う事になるのは変わりないしそれ以前に一年は高校生と中学生に分かれてしまう。その事に純は時々、何故クリスと同い年に生まれることが出来なかったのかと悔やんだ。
「あぁ、そう。来年、な」
「…………少し、寂しくなる、ね」
流石にリディアンと二人が通った中学は方角が別なので、通
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