第百四十六話 マドリードへ向けてその三
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「一緒です」
「そっちは何隻だ?」
「十隻です」
「十隻か、必死に改修もしたな」
「その十隻ですね」
「ああ、十万の大軍にか」
久志はあらためて述べた。
「空船もか」
「明らかに決戦を意図していますね」
「間違いないな、じゃあな」
ここまで聞いてだ、久志は決断した。そうしてそのうえで順一だけでなく他の仲間達に対しても話した。
「こっちもな」
「決戦だね」
「ああ、敵はテルシオとカラコールで来るだろうけれどな」
それでもとだ、久志は剛に答えた。
「その敵軍とな」
「戦ってそして」
「勝つな」
「そうするんだね」
「今俺達はリナレスを包囲している」
そのうえで降る様に使者を送ったのだ、しかしその使者が強気の領主によってけんもほろろに追い返されたのだ。
「しかしな」
「それをなんだ」
「包囲を解いて下がるか」
「前に出て戦わないんだ」
「もうここは既に敵の勢力圏で前にこっちに降ってる街も村も領主もいないんだ」
それならというのだ。
「それならな」
「ここはなんだ」
「ああ、ここで前に出てもな」
「戦いながらで」
「思う様に進めないし戦力も消耗する」
「そのうえで決戦は挑みたくないね」
「絶対にな、だからな」
こう考えてというのだ。
「今回はな」
「前に出ないんだね」
「しかも前に出るとしたらリナレスを囲んだままか」
「攻め落としてね」
「俺達の勢力圏に収めてからだろ」
「それだとね」
「囲んだままだとその分そっちに兵を割かないといけない」
決戦に向けるべき戦力をというのだ、街から敵兵が出て来て後方を脅かされては決戦どころではないということだ。
「そして攻め落とすならな」
「今から総攻撃を仕掛けるなりしてね」
「術や砲撃、空船から空で攻めてな」
「城壁を壊してね」
「それで街の中に押し入るけれどな」
「城壁はかなり破壊されてね」
「街も荒れてな」
「リナレスは規模も大きいし交通の要衝だから」
それでとだ、剛が話してきた。
「出来るならね」
「他の街もそうにしてもな」
「無傷で手に入れてね」
「補給基地として使いたいからな」
「手荒なことをするとね」
「意味がないからな、だからな」
久志は剛に考える顔で述べた。
「あえてな」
「ここはだね」
「下がってな」
「そのうえでだね」
「進むな、とりあえず主力はグラナダ方面に下げてな」
久志はさらに話した。
「コルドバ方面のトトメス将軍はコルドバで守ってもらって」
「リナレスから敵主力がそっちに来ても」
「足止めする動きを見せてな」
「そしてだね」
「コルドバ方面には敵主力を行かせない」
「グラナダに下がるこちらに向かわせる」
「敵の狙いは俺達にしろ選択肢は狭めるな
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