第8章:拓かれる可能性
第236話「振るえ、英雄の力」
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きっかけはなんだ?」
「きっかけ……ぁ……」
そこまで言われて、帝はハッとする。
同時に、脳裏に優奈の姿が浮かんだ。
「……優奈……!」
「そうだ。彼女の正体が何であれ、君は彼女によって現実を見た」
「俺は……そうだ。俺は……!」
「……ようやく、自覚したみたいだな」
ふと、帝が顔を上げれば、そこには未だに戦う優奈の姿が見えた。
「ッ……!」
「さて、どうしたい?」
「……優奈を、助けたい」
「そのためには?」
「……戦う」
「そうだ。ここで立ち止まっている暇などない」
エミヤの言葉に答える帝だが、体を動かそうとも動かせない。
まだ、恐怖が意志を上回っているのだ。
「では、追加の質問だ。……このまま、彼女が負けるのを黙って見ているのか?」
「それ、は……!」
「嫌なのだろう?それだけは、譲れないのだろう?ならば、立ち上がれ!」
「ッ……!!」
自身を奮い立たせる。
優奈を助けるために、恐怖を意志が上回る。
なぜ、優奈のためにそこまでやろうとするのか?
……簡単な事だ。
「好きな相手だから助けたい……理由はそれだけで十分だ……!!」
好きな人のために頑張りたい。
それが、帝の戦う理由だった。
それは今もなお変わらない。
優奈を助けるためならば、どんな相手にだって立ち向かう。
「そうだ。人一人を助けるのに、大層な理由なぞいらん。誰か一人にとっての正義の味方になるのは、簡単な事だ」
柔らかな笑みを浮かべ、エミヤは一本の剣を投影し、帝の目の前に突き刺す。
「剣を取れ、王牙帝」
「ッッ!」
剣を手に取り、一息に引き抜く。
同時に、真っ白な空間から元の神界の景色に戻る。
振り向けば、エミヤとギルガメッシュの体は透けていた。
「ようやくか。待ちくたびれたぞ。道化」
「………」
「今一度、同じ問いを投げかけよう。我の力を持ちながら、“何も出来ぬ”と宣うか?それとも……」
「関係ない」
「……ほう?」
「俺は、好きになった女を守る。そのために戦うだけだ!」
勝てる勝てないの応答ではない。
だが、その答えにこそ、ギルガメッシュは満足したように不敵に笑った。
「よく言ったわ戯け者!ならば、我と小癪だがそこの贋作者の力を存分に振るえ!神という立場に驕る連中に、目にモノを見せてやるがいい!」
「質では勝てぬとも、量ではこちらも負けてはいない。上手く活用するといい」
「……ああ!」
見送るような激励の言葉を受け、帝は戦意をさらに高ぶらせる。
「……最後に、一つアドバイスだ。あの未熟者に
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