第8章:拓かれる可能性
第236話「振るえ、英雄の力」
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やむ帝。
自分では助けになれないからこそ、その悔しさは強かった。
「(何か……何かなにのか!?俺に出来る事……助けに、なれる事は……!)」
手札は多い。だが、そのどれもが通じないイメージに繋がる。
考えても考えても、自分では足手纏いになってしまうと、帝は思ってしまう。
「くそっ……優奈……!」
まだ戦っている優奈だが、既に追い詰められてきている。
倒れるのも時間の問題だ。
「(俺には、何も出来ないのか……!何も……!)」
悔しさに涙が滲む程だった。
今すぐにでも、帝は優奈の助けに入りたい。
だが、決定的力量差という現実が、帝の足を進ませない。
……前に踏み出す勇気が、振り絞れなかった。
「ッ……!」
見ている事しか出来ず、帝は項垂れる。
「何をしている。道化」
……その時、誰かに話しかけられた。
「ぇ……?」
見れば、景色がいつの間にか真っ白な空間になっていた。
振り返れば、そこには見覚えのある金色の鎧に身を包んだ金髪赤目の男がいた。
「よもや、我の力を持ちながら、“何も出来ぬ”と言うつもりか?」
「っ……ぁ……」
帝は声が出せない。
その男のただならぬ雰囲気もあるが、この場においているはずのない存在だからというのもあった。
「……英雄王、ギルガメッシュ……?」
そう。帝の持つ特典の一つ、王の財宝。
それの本来の持ち主である、ギルガメッシュがそこにいた。
ギルガメッシュは見下ろすように帝を見ていた。
「再度問おう。我の力を持ちながら、“何も出来ぬ”と言うつもりか?」
「っ……でも、いくら何でもあいつらを……」
「戯け!」
「ッッ……!」
頬を掠めるように、剣が飛んでくる。
悲鳴を上げる間もなく、帝は息を呑む。
「奴ら如き、我の財を持つならば倒す事など容易いわ!にも関わらず、倒せないというのならば、それは貴様が弱いだけの事!」
「…………ぃ」
「如何に法則が違おうと、それは奴らの都合でしかあるまい。自らの“領域”に引き込めるならば、負ける道理はない!」
言わば、帝は相手の法則で戦っているようなもの。
実際は、それに従う必要はない。
自分のルールで戦えば負ける道理がないのは当然だ。
……それを為す“意志”が必要なのは確かだが。
「……る……ぃ」
「ましてや、あのような蛮神に慢心もなしに負けるなど、我が赦さん!」
「うるさい!!」
自分は強くな
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