第一章 モビルスーツ
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難いのだが、今回は予算と開発まで要する時間などを考慮して、低コスト汎用性の面からしてやはりジオニック社に軍配が上がった」
「そうですか……」
「何だね、フリートハイム君。自社の製品がプレゼンに勝利したというのにあまり嬉しくないようだね」
「いいえ、そういう訳では」
ハイジは小さくかぶりを振った。
4
U.C.0077??
サイド3ムンゾのガーディアン・バンチに駐屯する地球連邦軍の一個連隊が、ザビ家の四男ガルマが指揮する学生隊の蜂起によって奇襲され武装解除されるという事件が発生した。実は裏でガルマを焚きつけ扇動した人物は、あのシャア・アズナブルだった。
その頃、ダークコロニー内では、ジオニック社が開発を手掛けたYMS-03ヴァッフの次世代機であるMS-04グフのテストが行われていた。
テストパイロットは引き続きハイジとロイドが受け持った。更に、数人の生粋のジオン軍人がその任に就いた。
アナハイム社の産業スパイであるマルク・カルデン少尉の造反によって次世代モビルスーツ開発が、一時期停滞するがハイジたちの手によって再び開発に拍車が掛かった。
「悪くはないわね」
自らのパーソナルカラーの瑠璃色に統一されたグフのコックピット内で、ハイジは満足気に呟いた。
すると、そこに同じくグフに搭乗しているロイドが、ハイジの乗ったグフの肩に手を当て振動共鳴による会話を試みた。
《……マルク・カルデンを売ったのはアイツだろ》
「アイツって……?」
《クワトロ……ヤツの正体はキシリア機関の諜報員だ。ジオン国内に潜入している連邦側のスパイを炙り出す役割と向こうの動きを監視するのがあの男の任務だろ》
「どこで仕入れたの、その話」
《ラル中佐殿が漏らしていた》
「ラル中佐が……」
《ああ》
「そう」
ハイジは素っ気なく頷く。
《まあ、俺もその辺はよく知らないのだが、連邦は躍起になっているみたいだぜ、新型モビルスーツの開発に》
「ふぅん、そうなんだ……」
《で、どうするだよあんた、このままジオンに残る気か?》
「どういう意味?」
ハイジは訊ね返した。
《噂だと、ジオンは連邦に独立戦争を仕掛けるつもりだろ》
ロイドの言葉を受け、グフのコックピット内のハイジも頷いた。
確かにジオン国内では独立派が圧倒的で、反戦派を大きく上回っている。しかもサイレントマジョリティを含めると国民の背反を占める。
《俺はこのままジオンに残って正式に軍籍を取るつもりだ》
「そう」
ハイジは素っ気なく答えた。実を言うと、彼女はもう既にジオンの国籍と軍籍を所得していた。しかし敢えてそれをロイドに伝えることはしなかった。
U.C.0078??
ジオン公国サイド3を脱した宇宙船は、月の裏側の恒久都市グラナダに入港
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