第一章 モビルスーツ
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ともない真似は出来ねえな、兄貴ぃよ」とロベルト・マッシュ軍曹が言った。
「ああ、そう言うこった」
ガイアは頷くと、整備士からノーマルスーツ用ヘルメットを受け取った。
パイロットがヘルメットを装着したのを確認したあと、整備士は遠隔操作でコックヒットハッチを開けた。
ガイアとオルテガ、マッシュの三人はハイジたちよりも先にコックピットに入り、ヴァッフに乗り込んだ。
ヘルメットを装着し、コックピットに入ろうとしたハイジをミノフスキー博士が、「待ちたまえ……フリートハイム特務少尉」と呼び止めた。
「はぁ? 何か……?」
ハイジは機体に足を掛けた状態で振り返り、その白髪の老人を見詰めた。
「内々にキミに話がある……」
「今でしょうか、博士。そのお話というのは?」
ミノフスキー博士は無言のまま小さく頷く。
その様子を見ていたロイドと、キシリア機関の諜報員でアナハイム社に潜入しそこから更に連邦軍へ出向しているクワトロも、怪訝そうにミノフスキー博士に穿った視線を走らせた。
「抜け駆けはズルいぜ、お嬢さん」とロイドが訝し気に声を掛けた。
「まあいいじゃないか、マニンガム君……」
ミノフスキー博士は唇の端に笑みを浮かべる。そして、ハイジを見た。
「行こうか、フリートハイム」とダークコロニー内にある観測室を指差した。
ハイジは博士の指し示す指先に目を向けた。
「はい」
「ちぇっ」
面白くないロイドは小さく舌打ちする。
クワトロも悟ったようにかぶりを振ってみせた。
この後クワトロ・バジーナが潜入先の連邦軍に在籍中に、一年戦争が勃発すると、乗艦していたサラミス級宇宙巡洋艦メフィストフェレス轟沈によって戦死した。終戦後、ジオン残党と共にアクシズに亡命していたシャア・アズナブルの手によってその軍籍とIDを乗っ取られた。所謂イリーガルに他人の戸籍を奪う背乗りである。
観測室内には、ミノフスキー博士の弟子たちが数人待機していた。中には制服姿のジオン軍人もいた。彼らは、目の前の巨大モニターに見入っていたが、ハイジと博士が室内に入って来たので、そちらの方に目を向けた。
「お話というのは?」
観測室に入るなり、ハイジは訊ねる。
「立ち話もなんだ、掛けなさい」とミノフスキー博士は回転椅子を指差した。
ハイジはその椅子を見詰め、眉根をピクリと動かしてみせた。椅子を引いて腰掛ける。
それを見届けると、博士も彼女に対座するように腰掛けた。
「お茶でも入れましょうか? 少尉殿」
男性下士官が訊ねると、「いいえ結構です。それよりお話の方を」と即座に断った。
「今回完成した試作機YMS-03の次世代機についてだが、ヴァッフに引き続き次の機体もジオニック社にと考えている。勿論マニンガム君が推すツィマッド社のプランも捨て
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