第一章 モビルスーツ
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W-01 01式後期型のテストパイロットを務めていたミゲル・ガイア少尉だ。
ここは慣性が働いていないため無重力の状態だった。ガイアは機体を軽く足で蹴るようして飛び降りた。そしてハイジが乗ったモビルワーカーの方に向かった。するとハイジは、コックピットのハッチを開けて、顏を覗かせる。ヘルメットを外す。
「大変ですな」と、彼女の乗った機体に手を掛けながら、ガイアが呼び掛ける。
「まあね……」
肩まで伸びた銀髪を掻き上げると、ハイジは意味あり気な笑みを浮かべた。
そこに、先にコックピットから降りたロイドが近寄って来た。
「ガイアさん、何で軍属の俺たちまで掃海作業を手伝わなきゃいけねえんだ」
「まあそう言わずに……ですよね、フリートハイムさん」
「……」
ハイジは無言で苦笑した。
「何事辛抱が肝心、ですね、フリートハイムさん」
「なあ、もしかしてガイアさんは、ハイジあんたのこと好きなんじゃねえの?」
ロイドに揶揄われ、ハイジは顰め面になった。一方、ガイアの方は、その強面な風貌に似合わず赤面し耳まで真っ赤に染めた。
「図星だな」
ロイドはニヤリと笑った。
「お、俺を……か、揶揄うな、ロ、ロイド殿……」
ガイアは如何にも照れ臭そうに言った。
背後からモビルワーカーの近付く音が聞こえ、三人は会話を止め振り向いた。コックピットのハッチが開き、中からウィルフレッド・オルテガ准尉が顔を出した。
「ガイア兄ぃ。あっちでラル中佐殿が呼んでいるぜぇ。俺と一緒に来てくれ」
言いながらオルテガは、ドッキングベイへと続く通路を指差した。
ガイアは、オルテガが指差した仄暗い通路の奥に視線を向けた。ハイジとロイドも彼に倣うように目を向けた。
「じゃあ、そう言うことですので、フリートハイムさん、この辺で失礼します。あの、宜しければ今度、お食事などご一緒に……」
ガイアはハイジにそう伝えると、自分が操っていたモビルワーカーへ向かった。
ハイジは彼の背中に向かって、「新手のナンパのつもりなの、私を誘おうなって十年早いわ」と言い放ち笑い飛ばした。
「相変わらず冷たいね……ジオニック社の連中は」
ロイドが皮肉を口にする。
「あら、お互いさまでしょ。ツィマッド社の方だって利益優先にしてるんじゃないの」
ハイジは冷たく言い捨てると、再びモビルワーカーに乗り込もうとして動き出した。
コックピットに手を掛けたその時だった。掃海作業を終え、宇宙港に帰還した士官学校の学たちの中の一人がこちらを凝視していた。
ハイジは訝し気に首を捻った。
「……サングラス? 生意気な学生ね」
ハイジは勝気な笑み浮かべた。そしてゆっくりとコックピットの中に入った。ハッチを閉じ、モビルワーカーを始動させた。
2
「グラナダには
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