幕間の断片
語られない幕間-1
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弱き善の者を守り、強き悪を挫く。 孤独の道ではあったけど、私はただ、'目の前で人が死んで欲しくなかった'。それだけの思いで戦ったさ」
男の在り方は、きっと正義のヒーローだ。と俺は思った。己を顧みず、ただひたすら他者を守る為に戦った勇敢な男。
そのあり方は真っ直ぐで、美しい。
だけど、男は「孤独の道」とも言った。孤独で死地に赴き生命を賭けて敵を退ける行いは、誰にも理解されることの無い茨の道だ。
確かに彼は戦い抜き、人々の為に力を正しく使う、正義のヒーローだったのかもしれない。
けれど、その周りに支える者が居ないとしたらどうなるか? 答えは明白だ。心は硝子にヒビが入っていくように粉々になり、闘うことに無駄な感情は削ぎ落とされて・・・・・・壊れて行く。
「助けたかった人間が居た。だけどその人間は悪だった。野放しにしていれば、全ての人間を喰らい尽くす獣。・・・・・・だから、殺した。 自分の手で」
殺して、ころして、コロシテ。
・・・・・・いつしか、大事だった思いも、人達をも取りこぼして。
長くも短いと男の話を、俺は自分でも気づかない位に頬をつたう涙を拭う事もせずその話を聞き入っていた。男はそんな俺を見て微かに驚いた表情を浮かべる。
「・・・・・・君は」
「・・・・・・あんたは」
──今まで歩んできたこの道を、後悔してるか?
俺は長らく沈黙しつつも、胸に抱えていたその疑問をぶつけた。男は少しだけ迷って、
「してないよ。 だってーー」
王様だからさ。
そう、笑って答えた。
世界がブレ始める。 困惑するのを俺を他所に、青年は淡々と納得する。
『・・・・・・なるほど。どうやら君の・・・・・・がもうすぐ覚・・・・・・らしい。』
そうする間にも、俺の視界のブレは1層増していく。青年の言葉も、次第に掠れるように聴こえなくなりつつある。男はというと、これ以上話すことは無いと言わんばかりに、毅然とその場に佇む。
そして、俺の意識が完全に無くなる寸前──
「・・・・・・君は、君の信じれる大切な物を、―――ることだ。オレに救えなかった者を、君が――」
男の言葉を最後に、俺のユメは覚めていく。
ーーー
真夜中。多くの者が寝静まる中で、ズチュズチュと、淫らな音が部屋内に響く。男とオーラはベッドの上で裸となり、行為を及んでいた。 オーラは男のソレを手で扱きながら、つまらなそうに問う。
「・・・・・・それで? 覚悟は決まったわけ?」
男の前に目の前の女が現れたのは2日前。以降、ご飯や風呂以外は常に行為を強要してくる。 しかもどれもが寸止めであり、快感も満足に得られない。
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