第一物語・前半-未来会議編-
第十三章 抗いの行く先《3》
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こちらへぶつかる軌道を描く鉄製のそれが来た。
それを見て、実之芽は理解する。
「これは流魔操作ね!」
「ご名答!」
セーランは横に伸ばした左の手を、右へ水平に動かす。
その左手を追うように、コンテナは 淡い青の線に引っ張られる。
セーランが動く直前に、自身の指の平から出した内部流魔を近くに置いてあったコンテナに繋げた。
そして、そのままコンテナは眼前に迫っていた宇天の隊長を潰した。
コンクリートを打ち、砕けた。
鈍い音が鳴り、セーランは流魔の線を切り離す。
十メートルは離れていた距離は、一気にお互いの手が届く距離まで縮んだ。
「空中に避けてからの落下攻撃か」
「さすが長と言ったところね、だけどこれならどう?」
瞬間、セーランは息をつく暇もなく攻撃を食らった。
空から来た右足を腕で防ぐセーランに対し、実之芽はもう一つの足を右から顎へとぶち込む。
その衝撃によりセーランは吹き飛んだ。
数回転げ回った後、冷たい地面に手をつき立ち上がる。
「すんげえ痛かったんだけど」
「顎を狙ったつもりなのだけど、自分から攻撃を受けに行き頬に当てたわね」
右頬を撫でるように触るセーランの頬は、赤く腫れている。
そして二人は再びぶつかり合う。
今度は、実之芽が先に動いた。
地を蹴飛ばし、地面に張った水も飛ばす。
正面。セーランは迫る実之芽の攻撃を受け止めるために、防御体勢を取る。
「始めから防御体勢なんて、手の内明かしてどうする気?」
そう言うと、セーランの目の前から実之芽は消えた。
否、右へとステップしたのだ。
雨のなか、左足を軸に右へと体をセーランは無理矢理向けた。
そして眼前。右の拳に握り、振り抜こうとする実之芽がいる。
セーランは一つの行動をした。
流魔操作で操ったコンテナを再び、流魔の糸を繋げ自身の壁とした。
コンテナが地に落ちる音と元に、打撃の鈍い音が鳴る。
それは一つではなく、二つ、三つと続く。
「おいおい、素手でぶっ壊す気かよ!?」
そして眼前に置いたコンテナに亀裂が入り、破裂するように瓦解した。
破片となった鉄のコンテナが四方八方に飛び、一部がセーランの体を襲う。
顔の前に腕を盾とし、破片から顔を守る。
そしてセーランを襲うものが、もう一つある。
強化系術を拳に展開し、迫る実之芽だ。
それを見て、セーランは動いた。
前に行き、ぶつかりに行く。
「自爆行為かしら」
「いや、こう言うことさ!」
その時、実之芽の体は宙に浮いた。
●
「流魔操作の応用だね」
そう言うのは、伊達眼鏡を掛けたレヴァーシンクだ。
彼は映画面《モニター》を表示し、日来の長と宇天の隊長の戦いを見ている。
戦いの場から離れた所に
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