第一物語・前半-未来会議編-
第十三章 抗いの行く先《3》
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いうかもう勝負すること決定してるの?」
『覇王会戦術師としては戦って欲しいのが願いです。強制ではありませんが、……信じてますよ』
「なら半強制的ね」
すみませんねえ、と御茶丸は頭を下げる。
頭を上げたので、実之芽は彼に問い掛ける。
「私が負けると思う?」
『それは疑問ですか、それとも戦う前の掛け合いですか』
「どちらもよ」
『そうですか、なら大丈夫、勝てますよ。何故なら貴方は仲間が見ている前では必ず勝ちますからね』
「なら黙って見てなさい」
『了解』
そして、映画面が消える。
顔を上げ実之芽は、正面に立つ者を見た。
日来学勢院覇王会会長ヶ長、幣・セーラン……。
声に出さず、胸のなかでその者の名を呼ぶ。
彼は黙ってこちらを見ている。
返事を待っているのだろう。
だから、彼に告げる。
「その提案に乗るわ」
「そうか、手加減は無しだぜ」
「手加減なんてものはあいにく持ち合わせていないのよ」
二人は足の間隔を広げ、腰を落とす。
その姿勢のまま、セーランは仲間に向かって叫ぶ。
「おい皆! これからちょっくら戦うけどさ……手、出すなよ」
返事は返ってこない。
だが、それが肯定の合図だ。
その様子を見て、実之芽も自分達を囲む隊員に告げる。
「黄森の隊員達よ、ここから早々に離れさい」
その言葉に日来の長と重なるように立つ、他の隊員とは服の模様が違う中年の男が答える。
「それは出来ない相談ですな、日来の長は何もやらかすか分からぬ今は」
隊員を指揮している者だろう。
その男に向かって、更に忠告を続ける。
「なら如何なる被害を受けても自己責任でお願いするわね。ぽっくり昇天しても知らないわよ?」
「……この場は宇天学勢院隊長に預ける。総員撤退!!」
その言葉に囲むように陣を組んでいた隊員は、各方向に散らばる。
くっ、と言う言葉が聞こえたが、実之芽は気にはしなかった。
目の前にいる日来の長から、目を離すことはしたくはなかった。
何故なら、合図をしてからの戦闘とは彼は言っていなかったからだ。
こちらの様子を伺い、彼は口を上げた。
「真剣勝負準備平気?」
「文字にしたら漢字だけね」
「面白いところに気が付くもんだな、んじゃ始めるか!!」
「逆鱗の神雷と呼ばれる私の力、見せてあげるわ!」
直後、二人は動いた。
●
先に動いたのはセーランだ。
濡れたコンクリートの地面を踏み、実之芽との距離を一気に縮める。
そして秒にも満たない後で、実之芽も同じく地を蹴り飛ばした。
体を飛ばした実之芽は、こちらに向かう二つの影を 見た。
一つは、うおお、と叫んでいる日来の長。
もう一つは、
「コンテナ!?」
日来の長の横から、前に出るように
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