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レーヴァティン
第百四十五話 港町からその十

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「流石に」
「そうそういたら大変でしょ」
「そうだよな」
「私も一人親戚の叔父で酷いの知ってるけれどね」
「どんな人だよ」
「無職で尊大で図々しくて恩知らずで器が小さくてケチで文句ばかり言う人よ」
「それはまた凄いな」
「あまりにも酷くて」
 それでというのだ。
「親戚中からも知り合いの人からも匙を投げられてるわ」
「そうなってるか」
「お陰で今は身元不明よ」
「もうそのまま出て来るなと思ってるだろ」
「実際に」
 留奈は否定しなかった。
「二度とね」
「お前も色々あるんだな」
「親戚にはね」
「その叔父さんといいか」
「ええ、その母親もね」
「お前から見てお祖母さんじゃないのか」
「あまりにも性格と行いが悪くて親戚全員から忌み嫌われてるわ」
 そうだというのだ。
「それで縁切りされてたの」
「さっき一人と言ってた気もするがな」
「男性ではね」
「そういうことか。あと言葉は過去形だろ」
「そうよ、もう亡くなったのよ」
「そこで死んだと言わないだけましか」
 同じ意味であるが亡くなったと死ぬとでは全く違う、それで久志もそこからそうしたことは言ったのである。
「まだな」
「あっ、言葉は訂正してもいいわよ」
「死んだってか」
「ええ、それでもね」
「その人のことも大嫌いだったんだな」
「癌でそうなってよかったと思ってるわ」
 留奈は実際に心から述べた。
「もっと早くとさえ思ってるけれどね」
「その本音は言わない様にな」
「幾ら何でもよね」
「亡くなった人だからな」
「この世を去ったらもう水に流す」
「そういうことだろ、やっぱり」
「まあね、じゃあ今は言わないわ」
 その様にするとだ、留奈は久志に答えた。
「私もね」
「そうしてくれるか」
「叔父さんのこともね」
「話を聞いて更正する人には思えないし雇いたくもないが」
「それでもなのね」
「親戚だと思い入れがある場合もあるかもな」
「私はなくなったけれどね」 
 留奈はあらためて述べた。
「けれど今は言わないって言ったから」
「そうか、けれど思い入れつまり情にはか」
「流されてそうした相手を雇わないことね」
「そうだな、俺達の目的の為にもな」
「どうしようもない奴は雇わないことよ」
「そうだな、本当にな」 
 久志は留奈の言葉に頷きつつだった、そのうえで。
 連合王国に対する攻めを続けていった、そうしてここからどうするのかも考えていた。今まで立てている戦略を元に。


第百四十五話   完


                 2020・1・8
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