第二十三話「交わる世界」
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国領パールネウスはパーパルディア皇国時代の主要都市と工業都市全てを無くした状態で誕生した。しかも72ヶ国連合が壊滅した後も独立機運が各地で起きていて不安定な状態であったが自治領統合軍の到着により一気に平穏となっていた。帝国領パールネウスは一切の軍事力を自治領統合軍に委ねているため(パンドーラ大魔法公国を除くアルゼンチン帝国の自治領全てに言える事)武器の生産をする必要はない。しかもアルゼンチン帝国では骨董品としてなら価値のあるマスケット銃を。これらはロデニウス大陸などのアルゼンチン帝国友好国にほぼ無料ともいえる値段で供給されている。
「それとクワトイネ公国から食料の第三陣が到着しました。現在は各地に送っています」
「早急に頼むぞ。飢える者がいなくなれば帝国領パールネウスももっと安定するからな」
「はっ!それとインフラについてですが首都周辺はアルゼンチン帝国から貸し与えられた機械で何とか完了しました」
「よし、次は南方を優先的に行ってくれ。帝国直轄領間の道が整えば様々な物が入って来るうだろうからな」
「かしこまりました」
男は報告を終え部屋を後にする。部屋にはレミール一人だけとなり背もたれに体を預ける。
「……億劫だな」
レミールは無意識に呟く。彼女には一週間後に控えるお見合いがあった。お見合いといっても相手はアルゼンチン帝国の政党である帝国白銀党の党員であり能力も階級もそれなりに持っていた。これはアルゼンチン帝国からの楔でもあった。
レミールはデスクの引き出しからお見合い相手の写真が入った本を取り出す。決してイケメンとは言えないが醜い容姿とも言えない、むしろ穏やかそうな見た目をしている男であった。
「パーパルディア皇国は負け滅びた。私も本来なら敵の皇族という事で殺されても可笑しくなかった。そう考えれば好待遇だが……」
レミールは瓦礫に埋もれた中で救出してくれた男の言葉が忘れられない。パーパルディア皇国を呆気なく潰せる力。その力がパーパルディア皇国に向いた結果、パーパルディア皇国はずたずたに引き裂かれた上で傀儡となった。レミールをトップにして。
「……そう言えば北のオチデ王国がナチス・アトランタ第三帝国という国によって滅ぼされていたな。難民などの流入に気を付けないとな」
レミールは写真をしまうと再び業務へと戻るのであった。
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