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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第十五話 ハイネセン帰還
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宇宙暦788年6月29日11:00 ジャムジード星系、JE船団、船団旗艦ナウシカアV
ヤマト・ウィンチェスター

 まもなくジャムジードに到着だ。これでやっと戦闘糧食(レーション)ともおさらばだよ。
原作通りの脱出行とはいえ、散々なものだった。人を載せるのに精一杯だから糧食も飲料水も最低限しか
積んでない。通常食は民間人に、軍人はレーション。イゼルローン脱出の時のキャゼルヌさんの苦労が分かるわ。まあ俺達は味の不味さに苦労しているだけなんだけども…。

 「ウィンチェスター、この後の予定を確認しておこうか。バルクマンを呼んできてくれないか?」 
「分かりました」
ヤン中尉だ。エル・ファシルで一生分の勤勉さを使い果たしたって言うのは本当だろうな。逃げ出したリンチ少将が帝国軍に捕まった、っていう情報が船団を駆け巡った後は針のむしろだったし、見てて可哀想だったよ。警備艦隊司令部は信用ならない、中尉風情があてになるものか!…脱出するときの騒ぎが再燃したんだ。俺やオットーも同じような目で見られて正直腐ったよ。そんな状況だったから、途中すれ違ってエル・ファシルに向かって行った第1艦隊の姿をみた途端の変わりようが凄かった。やはり軍は頼りになる、ありがとう、ヤン中尉!だもんな。

 「…二人とも、ジャムジードに到着した後の予定は分かっているかい?」
「はい。ヤン中尉に同行してジャムジード警備艦隊司令部に向かいます。警備艦隊司令官に報告後、身辺整理となります」
「うん、そうだね。その後なんだが…よかったら食事にでも行かないか?」
「ありがとうございます。是非ご一緒させてください」
「一緒に仕事出来たのも何かの縁ですからね。ご一緒します」



6月29日19:00 ジャムジード星系、チヒル・ミナール、タフテ市中央区6番街、
レストラン『カミングオブスプリング』 ヤン・ウェンリー

 「任務の無事終了に乾杯だね。乾杯」
「乾杯」
「乾杯!」
「…ヤン中尉、司令部での事情聴取、長かったですね。何かしつこく聴かれたんですか?」
「…避難計画の指揮を執った経緯さ。経緯も何も、避難計画の策定、準備命令は出ていたから、そこは問題が無いんだが、やはり私の階級が引っかかったようだよ。実際、上位者は他にも居たからね」
「そうだったんですね」
「君とウィンチェスターも事情聴取はされたんだろう?」
「はい、でもまあ俺はオマケみたいなもんですからね。大したことなかったですよ」
「そんなことはない、私もウィンチェスターも君には救われているよ。君がいなければ、ウィンチェスターだって潰れているはずだ。違うかい、ウィンチェスター?」
「…はい、というか恥ずかしいから止めてくださいよ」

 そう、彼等と知り合う事が出来てよかったと思う。
私の
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