三十九 陽のあたらぬ場所
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笑する。
「貴方の試合が迫っているからですよ、うちはサスケくん。このままじゃ、君は不戦敗となります」
ハヤテの発言を耳にして、サスケはじろりとカカシを見上げた。ははは、と渇いた笑いを漏らしたカカシが、話題を変えるように礼を述べる。
「いや〜ありがとね。わざわざ知らせに来てくれて…。それによく俺達の居場所がわかったね」
入院してるはずでしょ、とさり気無く詰問してくる彼に、ハヤテは肩を竦めてみせた。
「火影の命令で、暗部が捜し回っているんですよ」
「あ――そうか。ハヤテの彼女…夕顔さんは暗部の一人か」
自ら問い、自ら解決する。サスケに修行をつけるという事を誰にも、火影にすら報告しなかったという負い目があるため、カカシはそれ以上問い質しはしなかった。
「病み上がりなのに申し訳ない。ところで、もう退院したわけ?」
「いえ…病院を脱け出して来たんです。どうにも退屈だったので…。それで偶然、貴方がたを見つけた次第でして」
「お前、勘凄いね…」
ハヤテの返事を聞いて、呆れたような顔をする。その鋭い勘のおかげで記憶を失ったのか、と内心考えたカカシは、あまり勘が良過ぎるのも考え物だという結論に達した。
「じゃ、急いで会場に向かうか。サスケ」
「当たり前だ。本選を受けなきゃ元も子もないだろうが」
むすっと顔を顰めるサスケを、まあまあと愛想笑いでカカシは宥めた。試験会場の方角へと足を向ける。
そして肩越しに振り返ると「ハヤテは病院に戻ってちょうだい。あまり無理しちゃ駄目でしょ」と忠告の言葉を投げた。
「あと不謹慎だけどさ、入院生活も無駄じゃなかったんじゃない?」
「はい?」
「喘息、治ったんじゃないの?さっきから咳き込まないし」
カカシの何気無い一言に息を呑む。だがそれはほんの一瞬の事で、すぐさま彼は取り繕った。
「え、ああ…。病院生活が性に合ってるのかもしれませんね、ゴホ」
目に浮かんだ、隠微な動揺の色。だがその微かな変化に気づかず、カカシとサスケは地を蹴った。修行場所としていた荒野を後にする。
会場へ向かう彼らの背中をハヤテは暫し見送っていた。不意に頭を下げる。
晴れ渡る中空で、白い光円を覗かせる太陽。頭上に惜しみなく降り注ぐ日光は、彼の表情を照らしはしない。
陰影に縁取られる顔。俯き様に浮かべた含み笑いは誰にも見られる事は無かった。
瞬く間に煙幕の一部となったナルの影分身達。周囲を取り巻く白煙がネジの黒髪を浚った。
「大体わかってしまうんだよ、この眼で。生まれつき才能は決まっている。火影とてそうだ。なろうとしてなれるものではなく、そういう運命で決められている。言うなれば、人は生まれながらに全てが決まっているんだ」
まるで幼子に
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