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妖精のサイヤ人
第七話:ギリギリの決勝戦!咆哮を上げる少年!
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「”雷竜のォッ!!”」

「!!?」

膨大な魔力が爆発的に上がった、そう感じたネロは自身を軽く超える魔力量に怯んだことで空きが生まれてしまった。

「な…ラクサスのヤツ…もう使えるのか!!?」

イワンは確かに、体が弱かったラクサスに魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ。それがどういうモノなのかを理解して。
だがそのラクサスはついこの間までは(ドラゴン)の力を完全に解放することができなかった。まだ体がそれに適応が完全じゃなかったはず―――。

(我が孫ながらも…末恐ろしいのぅ…)

隣にいる父であるマカロフはその未来が見えたのか、背筋を震わせていた。しかし、顔には嬉しそうに笑みを浮かべて。
さっきの殴り合いで傷を作っていくラクサスに若干ハラハラと落ち着かないで見ていたが、次第に手に汗を握るように試合を観戦するようになった。
自分の孫が成長するさまに、そしてサイヤ人の少年と繰り広げる試合に目を離さないでいる。
そして今、―――孫が限界を超える瞬間を目にする。

「”咆哮ォ―――ッ!!!”」

そしてここに雷竜は誕生し…全てといってもいい程の魔力が籠もったその雄叫びはその地域すらも覆い尽くす程の雷電が少年を襲いかかる―――!!

「チィッ…!!!」

その咆哮から逃れようとしたネロは飛び上がるが変わらずその電撃はネロへ突進する。竜は狙う人間に慈悲など存在せず、ただその一撃は破壊をするために存在する。

「お…おおおああああああああああああッ!!!?」

その巨大な力にネロは為す術もなく、何せ自分を大きく超える力の前に抵抗もできない。逃げようにもその魔法はは大きく、避けるにしても距離を取る時間も、動作が許されない。
ここに、ネロは確かにもうすぐ来るだろう己の未来を、敗北の未来が迫ることに実感する。
諦めの感情が顔に表れる、ことはなかった。
その様は駄々をこねる子供のように。

(まだ、まだ戦いたい。もっと戦闘を、この戦いを)

(終わりなんて嫌だ、更に戦いを。負ける?勝つ?どっちでもいい。いや勝ちたいけど…それよりもまだこの戦いを――感じてくる可能性にまだ手を伸ばしきれてないんだよこっちは!)

サイヤ人の細胞がすぐ近くにその先があると言っているのだ。その先の前で立ち止まる等しない。したくないんだ。
今、この戦いで近づいてきたソレに手を伸ばせるなら―――。

そして、ネロの姿は――竜の咆哮の中へと姿が消えていく―――

「――お―――おお―――!!」

ネロが意識を失う刹那、彼の中の化身は咆哮を上げる。
それは未熟で、まだ成り切れなくとも、潜在意識に眠る黄金が呼びされたと気づかずに。


★★★★★★★
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