君への贈り物(ホワイトデー記念回)
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特異災害対策機動部二課、仮設本部内の一角。
3月14日の浮ついた空気が漂う中、一組の少年少女が向かい合っていた。
「響、これを……」
そう言って翔は響に、黄色いリボンでラッピングした袋を手渡す。
中には朝から丹精込めて作って来たチョコレート菓子が詰められていた。
「バレンタインのお返しだ。受け取ってくれるか?」
「わぁ!ちっちゃいカップケーキが沢山!そっかー、だから今朝は一人で純くんの家に行ってたんだ〜」
「折角のホワイトデー、本当は少しでも長く響と過ごしたかったんだけど……やっぱり、沢山食べる響の顔が見たくてな。この後、一緒に食べないか?」
「うん!食べる食べる!翔くんありがとうッ!」
太陽のように明るく、花が開くような笑みを顔いっぱいに広げて、響は翔に抱き着いた。
響の背中に腕を回し、翔は微笑む。
「それからもう一つ」
そう言って翔は、もう一つの袋を取り出す。
カップケーキのものよりも大きく、両腕で抱えられる程の大きさだ。
「これ……ショッピングモールにある、ぬいぐるみ屋さんの?」
「うん。響、ベッドにぬいぐるみ置いてるだろ?その中に、こいつも加えてやって欲しくてさ……」
未来との学生寮生活の頃から、響の寝床には幾つかのぬいぐるみが置かれているのだ。
ぬいぐるみそのものも、それを抱える響の姿も可愛らしいので、翔もそれらをベッドに置かせていた。
その中に一つ、加えて欲しい。翔はそう言った。
響は期待を胸に袋を開いた。
「これは……青いヒヨコさん?」
「響のぬいぐるみ、ヒヨコが多かったからさ……。好きなのかな、って」
翔は枕元に置かれていた、頭に白いリボンが付いたヒヨコを思い出しながらそう呟いた。
我ながら、馬鹿だとは思う。まさか小日向に……響の親友、それも女の子に嫉妬するだなんて。
でも、どうしても羨ましかったんだ。
それが女子特有の距離の近さなのか、それとも響と小日向が特別なのかは分からない。
だとしても、俺は……。
「ありがとう翔くん!大事にするね!」
「ああ。そうしてくれると、俺も嬉しいよ」
きっと素直な君は、言葉通りの意味にしか捉えていないんだろう。
でも、それでいい。こんな俺の欲張りな面なんて、君は知らなくてもいい。君を独り占めしたい……なんて、俺らしくもないじゃないか。
でも、もしも君に知られてしまったのなら……。
もしくは、こんな俺を剥き出しにしてしまう日が来てしまったら……。
その時、君は俺を受け容れてくれるだろうか?
「ふっふーん♪じゃあ、この子を早く新しい友達に合わせてあげる為にも、早く帰ろっか!カップケーキも食べたいし!」
「おかわり、まだ箱に詰めてもらってるから、遠慮せ
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