暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第23話:魔女と魔法使いの契約
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ュタン、イチイバルを与えたクリスだけでは不安が残る。

 だがここで透が、戦える魔法使いとして加わってくれるなら話は変わってくる。フィーネは、運が自分に向いてきているのを感じた。

「一つ聞かせて。あなた、戦える?」

 とは言え彼が戦えるほどの力を持っていなければ同じことだ。幾ら魔法が使えるとは言え、その魔法が遠くから物を引き寄せる程度であれば結局足手纏いに変わりはない。

 さて透はどのような回答を見せるのか? フィーネが品定めするように眺めていると、彼は左手の中指に装飾部分が白い宝石で作られた指輪を嵌めた。そして右手には、赤く縁取られた掌の様な形をした装飾の指輪を嵌める。

 そして彼は変身した。そう、颯人と同じように。

〈シャバドゥビ・タッチ・ヘンシーン! チェンジ、ナーウ〉

 透が仮面と肩の突起などが白い仮面のメイジに変身したのを見て、フィーネは堪え切れず笑みを浮かべた。

 何たる僥倖か! 悩みのタネであった魔法使いへの対処、それが勝手に自分の手の中に転がり込んでくるなど!!

「──────いいでしょう、あなたをここに置いてあげるわ。透だったわね? 私はフィーネよ、よろしく」
〔よろしくお願いします。それと、ありがとうございます〕
「いいのよ、折角のクリスの頼みでもあるのだもの。偶には我が儘の一つも聞いてあげなくちゃ」
「フィーネ──!」

 先程の様子から一転、快く迎え入れる姿勢を見せるフィーネに、透は感謝しクリスは顔に喜色を浮かべる。

 だが甘やかすだけで終わらないのがフィーネと言う女だった。
 彼女は透の顎に指を添えると、底冷えするような声で小さく彼の耳に囁いた。

「ただし、役に立たなかったらその時は…………分かってるわね?」

 クリスには聞こえなかったその言葉。
 それを聞いた瞬間透は一瞬表情を強張らせたが、すぐに小さく深呼吸して心を落ち着かせるとフィーネに小さく頷きかけた。

 フィーネは透からの声無き返答を見ると、純粋に喜ぶクリスを尻目にどこか妖艶でねっとりとした笑みを浮かべるのだった。
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