暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第23話:魔女と魔法使いの契約
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フィーネに語り掛けた。

〔初めまして。北上透と言います〕
「筆談? あなたの顔に付いている口は飾りかしら?」

 侮蔑を含んだフィーネの声。
 咄嗟にクリスがその対応に反論しようとするが、それより早くに透はフィーネに切り裂かれた跡が目立つ喉を見せた。

 見ただけで常人なら思わず口元を抑えたくなるような醜い傷を付けた透の喉を見て、フィーネは不快そうに目を細めて鼻を鳴らした。

「あら、それじゃ確かに喋れないわね。お気の毒様」
〔お気になさらず〕
「フン…………それで? クリスが言うにはここに置いてほしいそうだけど?」
〔クリスの手伝いをさせてほしいんです。邪魔にはなりません、お願いします〕

 そう記すと透は再びフィーネに頭を下げた。

 精一杯誠意を見せる透だったが、正直現時点でフィーネの認識では透を配下に加えることに必要性を感じていなかった。

 第一に、声を失った彼は聖遺物の起動実験において何の役にも立たない。
 歌えればまだ男とは言え使いようはあったろうが、歌う事すらできないのであれば論外だった。

 第二に、彼に荒事が出来るとは思えなかった。
 バスローブを脱げば細くともそれなりに筋肉が付いていることは分かるのだが、その程度ではフィーネは納得しない。これから先、場合によっては戦闘行為も視野に入れているフィーネにとって戦えるように見えない透は足手纏い以外の何物でもなかった。

 以上がフィーネが透を迎え入れる事に難色を示す理由である。

 だが透自身、自分がそういう目で見られるだろうことは想定内であった。

 故に、彼は己の価値をフィーネに示した。即ち、魔法使いとしての力をだ。

〈コネクト、ナーウ〉
「ッ!?」

 徐に透は魔法を発動し、魔法陣に手を突っ込むと遠くの花瓶から花を一輪抜き取り、フィーネに差し出した。他人に魔法の存在を認知させる為なら、これが一番手っ取り早い。

 透が魔法で花を取り寄せるのを見て、フィーネは驚愕に目を見開いた。
 だがそれは、魔法と言う存在に驚いたのではなく透が魔法使いだという事実に驚いたのだ。

「あなた、魔法使いだったの?」

 魔法の存在を既に知っており、透が魔法使いであるという事にフィーネの方が気付いたことにクリスと透は揃って驚いた。
 驚きはしたが、知ってくれているなら透にとっては好都合。これで彼の価値がフィーネにも伝わった。

 事実、フィーネは透が魔法使いだと言う事を知って彼への認識を180度変えていた。

 思い返すのは1年前、ツヴァイウィングのライブで“彼女が引き起こした”事故の現場に姿を現した颯人とウィズの姿だ。
 特にウィズは、魔法を用いてノイズを圧倒していた。正直、ロクに戦う手段を持たない自分やネフシ
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