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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第23話:魔女と魔法使いの契約
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称した拷問を受け透は殺されてしまう。
では逆にここでさっさと透の存在をフィーネに明かし、彼をここに置くことが出来ないかと懇願しようかと考えたがそれも少々微妙な所だ。
前述した通りフィーネには透をここに置く理由がないのだから。
どうしよう…………そこまで考えたところで、クリスは透にはまだ帰るところがある事を思い出した。
「ッ!? そうだ…………透には、帰るところがあるんだ」
途端、クリスの体は震えた。もしここで透が彼の父親の所へ帰ったら、二度と会うことは出来なくなる。
だって彼がそこから先歩むのは日向の道で、対する自分は日陰の道を往く。会う事など出来る筈もない。
嫌だ。もう離れたくない。折角こうしてまた出会えたと言うのに、また離れ離れになるなんて想像したくもない。
もうクリスには透しかいないのだ。過去の彼女を知る、彼女と過去を、苦難を共有したのは透ただ1人なのだ。
だが同時に、頭のどこかで彼とは別れるべきと言う声が上がっていた。
クリスが目指す先にあるのは争いの無い世界とは言え、その道中は否応なしに周囲に破壊を齎す。
もしかしたらその中で誰かをクリスが殺める事になるかもしれない。その手を血で汚すのだ。
透に近くに居てもらうという事は、その瞬間を彼に目撃されるという事であり、同時に彼の手も血で汚させる可能性があるという事だった。
離れるのは嫌だが、彼に汚れられるのも嫌だった。透には清らかなままでいて欲しい。それならば離れるしかないのだが、それもまたクリスにとっては苦痛だった。
離れるべきと言う気持ちと離れたくないと言う気持ち、二つの相反する想いが鬩ぎ合いクリスの心を苛む。
そんな彼女の背中を後押ししたのは、他ならぬ透だった。
「…………」
「────!? ぁ──」
透はクリスの頭にそっと手を乗せると、彼女を安心させるように優しく撫でた。
撫でられたクリスが透の顔を見やると、彼は穏やかな笑みを浮かべて彼女に頷きかけ、そして撫でるのを止めると自らの胸に手を当て、次いでその手をクリスに差し出した。
それはまるで、御伽噺に登場する騎士が愛する姫君に誓いを立てている様で。
クリスが誘われるように彼の手を取ると、彼はその手を両手で包みしっかりと頷いて見せた。
言葉はなくとも、その仕草で彼の言いたい事はクリスに伝わった。
彼はこう言っているのだ。
もう離れたりしない、だから安心して…………と。
その瞬間、クリスの体の震えはぴたりと止まった。
先程まで荒れ狂っていた心は穏やかになり、頭はクリアーになり冷静に物を考える事が出来るようになった。
「とお、る────?」
クリスが呆然としなが
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