暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第23話:魔女と魔法使いの契約
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る。
そんなごくごく当たり前の、平和なやり取りが堪らなく懐かしく、そしてそれを彼と共有できている事がどうしようもなく嬉しくて楽しかった。
2人揃って顔を見合わせながら笑い合い、一頻り笑って落ち着いた頃合いを見計らってクリスは今までずっと聞きたかったことを透に訊ねた。
「ははは、はぁ〜……笑った笑った。久しぶりだな、こんな風に笑ったの」
「…………!」
「あ、それで? 結局、透は今まで一体何してたんだよ?」
「……!?」
クリスからそう問い掛けられて、透は一瞬表情を硬くした。そして一度虚空を向き遠い目をすると、手にしたメモ帳にぽつりぽつりと再会するまでの事を記した。
***
あの後、武装組織の心無い者によって喉を掻き切られた透は、部屋を引きずり出された後案の定始末した捕虜を処分する場所へと連れていかれていた。
処分と言っても、特に何かをする訳ではない。ただ離れた所にある空き地に放り込んで、そのまま放置するだけである。放っておけば野生動物などが勝手に死体を片付けてくれるのだ。
透もその例に漏れず、未だ原形を留めたものから元の姿が分からなくなるくらい朽ちた死体が散乱する空き地に放り込まれた。
透の口と喉からは血が流れ続け、次第に意識が朦朧としてきた。もう痛みも感じない。人間としての感覚が薄れていく事に、透は己の死を予感した。
だがそれを実感して尚、意外なほど彼の心は恐怖を感じてはいなかった。
ただ一つ、目の前で自分が殺されかける光景を見せつけられる形となったクリスのその後が気掛かりだった。
こんな状況になっても、透が考えるのはクリスの事であった。
そう、彼は彼女の事を愛しているのだ。だからこそ危険を顧みず歌を歌って彼女に安らぎを与えようとするし、自分が死に掛けていると言うのに笑みを浮かべることが出来たのである。
自分と言う防波堤が居なくなった後、クリスに男達の暴行が向かわないだろうか?
目の前で自分が殺されかける光景に、心に大きな傷を作ったりしないだろうか?
様々な不安を胸に抱きつつ、遂に透は意識を闇へと沈めるのだった。
それから二日後…………
「ほぉ、これはこれは……」
二日前の時点で息も絶え絶えで誰がどう見ても死に掛けだった透は、驚いたことにまだ生きていた。普通ならあり得ない、例え大の大人であっても息絶えていなければおかしい筈である。
その彼を見て、興味深そうな声を上げる者が居た。メイジだ。
仮面と両肩の突起物の色が紫色をしている。
更にその周囲には、琥珀色の仮面と突起物のメイジが複数人居た。琥珀色のメイジの一人が、紫色のメイジに話し掛ける。
「メデューサ様、如何なさい
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