揺籃編
第十四話 エル・ファシルの奇跡(後)
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ます。現在我が方と正対している敵艦隊、今までは敵B集団と呼称していましたが、これを敵C集団とします。その後方にある艦隊を敵D集団とします。現在敵C集団、およそ千二百隻、十二時方向、六十光秒。敵D集団、およそ三千隻、十二時方向、四百光秒」
「C集団はこちらとほぼ同数か…第1、第2艦隊のエル・ファシル到着は何日後だったかな」
「すでにハイネセンを出て三日は経っていますから、最短で十五日後です…こう言ってはなんですが、ジャムジードからの援軍の方がよほど有り難かったですな」
「それは言わぬが花というものだ、参謀長」
「そうですね…敵C集団、速度をあげて近づいて来ます。…敵D集団はそのままです。どうなさいますか」
6月11日08:00 エル・ファシル星系、エル・ファシル、中央合同庁舎
ヤマト・ウィンチェスター
「市長は現在登庁の途中です。それに昨日も申しあげましたがアポイントメントの無い方の面会は受け付ておりません」
「エル・ファシル在住の人々の命がかかっています。それでも市長は会ってはくれないというのですか?」
「ですから、最低でも三日前にはアポイントメントを取って頂かない事には…」
規則を遵守する事は大事ですがねお嬢さん、階級はそれほど高いとは言えないがエル・ファシルの防衛を司る警備艦隊司令部所属の作戦参謀が制服を身につけて訪れている、その意味が分かりますか?
「…アポイントメントが無ければ会ってはくれないそうだ、どうしたものか」
諦めるのが早いなあ、ヤンさん…。何か、何か…あ!あの人は!
「中尉、あの人を頼りましょう。きっと力になってくれますよ。ロムスキーという方で、医者の方です」
「そうなのかい?大丈夫かな」
「ロムスキーさんは紳士ですから、訳を話せば力になってくれますよ」
「でもねえ、知らない人になんて話せばいいんだか…いきなり避難計画を話してもねぇ」
「…私が行ってきます。オットー、行くぞ」
しっかりしてくれヤンさん…。
「あの、すみません、ロムスキー医師ですよね?」
「そうですが…あなた方は?」
「警備艦隊司令部の者です。ご覧の通り軍人ですよ。ところでロムスキーさんは市長に用事がお有りなのですか?」
「往診を頼まれましてね。執務が始まる前に来てほしいという事で、ここでこうして待っているのですよ」
「なるほど。市長はどこか体がお悪いのですか?」
「心臓に持病をお持ちで…いけない、個人情報ですから他の方に言っちゃダメですよ」
「え!それは困った…こんな緊急な話聞かせていいものかどうか…もし心臓に負担がかかったら…オットー、どうしようか」
おいオットー!ボーッとするな!話を合わせろ!!
「そ、そうだな、市長が倒れてもいけないし…でも困ったなあ…」
「…市長に緊急な用件
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