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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
4-4 隊長失格
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危うく刹那に殺されかけたから、それを防ぐべく我が身を犠牲に飛び出した。それが正しいとかじゃなく、そうしなければと本能的に体が動いたからだが、マリアは大神のその判断を糺弾した。
「今回の戦闘の負傷は少尉の責任です。あなたの我が身を省みない行動で負傷したために敵を取り逃がし、多くの市民の命を危険に晒したのです!たった一人のために命を懸けるなどナンセンスです!」
その言い分は、大神の逆鱗に触れた。月組隊長の命を軽く見ているような言い方が許せなかった。
「マリア、口が過ぎるぞ!だったら君は、同じ帝劇の仲間を見捨ててしまえばよかったというのか!?」
「その帝劇の仲間が…さくらが敵の手に捕まったと言ってもですか!!」
「え………」
さくらがさらわれたと聞いて、大神は一瞬自分の耳を疑った。構わずマリアは彼に対する
「少尉があの時冷静に、私に遠距離からの攻撃命令を下せば、もっとうまく対処が可能でした。さくらだって敵の手に堕ちずに済んだはずです。月組隊長も自分のために帝都が危機に陥るくらいなら自らの死を望むはずだ。
それなのにあなたは後先考えずに飛び出して負傷し、結果さくらの誘拐を許してしまった!これで隊長としての責任を果たしたと言えますか!?」
「そ、それは…」
言い返せなくなった。さくらは大切な花組の仲間だ。狡猾な黒之巣会のことだ。また人質にとってこちらの動きを鈍らせてくるのは目に見えてくる。
「…マリア、確かに俺は判断を誤ったかもしれない。
君のその意見は確かに軍人としては正しい。
だが…」
大神は月組隊長を助けるために飛び出したことを、間違いだとは思いたくなかった。言い訳とかではない。
「俺は仲間や守るべき人々の命を踏み台にしてまで勝利をつかみたくない!必ずみんなで生き延びて勝つ、それが俺の理想であり、信念だ!これは誰であろうとも譲るわけにいかない!」
譲れない己の信念をハッキリと断言した大神。さくらや他の隊員たちが聞いていたら、その理想高き精神を称えていたかもしれない。だが、マリアにはあまりにも愚かに受け止められていた。
「死にかけた身でありながら…そんな甘い理想を掲げ、非情になる覚悟もないのですね」
が、それだけではなったのか、一瞬だめマリアの表情が悲しげなものに変わる。
「…その理想のために、少尉が死んでしまったら、あの時と同じなんです」
「あの時?」
なんのことかと、一瞬見えた表情の変化のことも含めて尋ねようとしたが、すぐにマリアの冷たい視線が突き刺さった。
そして、抉るような言葉の形の弾丸を、彼の胸に叩き込んだ。
「よくわかりました、あなたのような短絡的な思考の夢想家が隊長では、我々隊員の命がいくつあっても足りません。

大神少尉…あなたは、





隊長失格です!!」

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