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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
4-4 隊長失格
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だから…ね、真宮寺さくらお姉さん」
「!」
名乗ってもないのに、自分のフルネームを言い当ててきた刹那に、さくらは絶句する。まさか本当に他者の心を読めるのか。アイリスがそれを可能としているように。
「へぇ、これは驚いた。僕以外にも人の心が読める子がいるんだ」
さくらはしまった、と己の軽率さを呪った。こいつはほんのわずかに浮かんだ思考さえも読み取れるのだ。これ以上心を読まれないように心を閉ざしておかなければ。下手をしたら、マリア以外にもこの刹那という男は薄汚い手を伸ばしてくる。
「でもまずはマリアお姉さんの心をズタズタにしてやろっかな。君を…じっくり可愛がった姿を見せたらどんな反応するかなぁ?例えば…こんな感じに!」
刹那が目を見開いた瞬間だった。刹那自身が触れたわけでも拳を繰り出したわけでもないのに、さくらの体に殴られたような激痛が走った。
「がは…!?」
「それとこんな感じかなぁ!!」
「っぐぅ…!!!」
二発目もまた目に見えない一撃。さくらの華奢な体を、まるで木の枝を踏み砕くように刹那は痛めつけていく。
「いいねぇ、その悲鳴。もっと僕を楽しませてよ!!」
「あああああああああああああああ!!!!」




「………!…」
その轟く叫びが聞こえたのか、自室にいた大神が目を覚ました。
「ここは俺の…」
目覚めたばかりの意識が覚醒していった、ちょうどそのときだった。マリアが再び一人で、大神の部屋を訪ねてきた。
「少尉…気が付いたのですか!?」
「マリア…!っぐ!?」
大神はマリアに先日の戦闘のことを尋ねようと体を起こすが、強い痛みが走る。起きあがって苦痛に悶えた彼を見て、マリアはすぐに駆け寄った。
(そうだ、俺は確か…!)
その痛みで、意識を失う直前までの記憶がよみがえった。月組の隊長を庇ったことで今のダメージを負ったものだ。
「まだ体が痛みますか?」
「あ、ああ…」
「あれほどの重症だったんです。今はあまり体を動かさないでください」
「そ、そうだ…!あの隊員は…!?」
ベッドに背中を預けさせられた大神は、マリアから、先日の戦闘で刹那に人質にされてしまった月組の隊長のことを改めて尋ねた。
「彼なら無事に救助できました。怪我もほとんどなく、今は任務に復帰、黒之巣会の動向を探っています」
「そうか…よかった」
彼が無事だと聞いて、ほっと一安心する大神。しかし、マリアは目を吊り上げ、一息ついた大神に対する怒りを募らせ…冷静な彼女のものとは思えないほどに声を上げた。
「何がよかったというんですか!!!」
「ま、マリア?」
マリアから怒鳴られるとは思わなかった大神は驚いて目を見開いた。
「大神少尉……なぜ、あの時いきなり飛び出したのですか」
「え?それは、月組の隊長が…」
人質にされた月組隊長が
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