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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
4-4 隊長失格
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が本当に殺されてしまっていたら!!」
「ジン!」
反論を繰り返すジンに向けて、米田の怒鳴り声が響く。その一声でジンは思わず身が一瞬震え、黙らされた。
「俺だってなぁ、誰も死なずに、それも怪我一つない状態が一番だってのはよく思い知ってるさ。本来なら、あの子たちを戦場に立たせるつもりはなかった。今だって俺自身が前に出て戦いてぇさ。
それが、光武を動かせるだけの霊力を持ってるのがさくらたちだけとはいえ、戦場に女を出してこっちは指揮を執る側…本来俺たち軍人は寧ろ前線に立ってあの子たちを守らなくちゃならない立場だってのにな。あの子たちだって、戦場に立つことよりも、もっとやりたいことだってあったはずだ。
でもよ、花組のメンバーはいずれも、戦うことを承知の上でここにいることを選んだ。それはなぜか?」
ジンの心を見据えるように、頬杖で自分の頭を支えて彼を見つめながら、米田はさらに話を続けていく。
「たとえそれが命を懸ける戦いだとしても、守りたいものがそこにあるからだ。
一歩も引かず、己の正義のために、大切なものを守るために戦う。
降魔戦争の時のお前もそうだった。お前はどんなにやばい敵が現れても、一歩も引かなかった。大切なものを守るためなら、自分が傷つくこともいとわない。
そんなお前だから、俺やあやめ君も守りたいと思ったんだ。お前の記憶が消えた今でもな。あの子たちだって同じだ。傷つき倒れることも覚悟の上、
それが帝国華撃団としての誇りだ。
それを捨てた華撃団に意味なんざねぇ」
「…!」
華撃団の誇り。それがジンの心に重くのしかかった。
誰かを守るために、我が身の痛みを厭わずに戦う。絶対に汚してはならない、戦士の矜持。
守るためと言ってみれば聞こえはいいが、同時にそれは花組から華?団としての誇りを奪うことだった。命を懸けることを承知の上で、大神やさくらたちは荒ぶる脅威に向き合い、戦うことを決めた。でしゃばって変身して自分一人だけで立ち向かえば、花組は納得するだろうか。
いや…しないだろう。
「お前だって覚悟を決めて、赤い巨人に変身することを選んだんだろ?だったら、あの子達の覚悟も受け止めてやれ」
「…はい」
すると、支配人室の扉をノックする音が聞こえた。
米田が入れ、と許可を下ろすと、一人の男性が支配人室へと入ってきた。
「あなたは…!」
ジンはその顔に見覚えがあった。上野公園へ、花見の下見に行ったときに出会った、大神の知り合いの男だ。
月組隊長にして、大神の知人でもある加山雄一である。
「米田司令、彼は…」
「人払いなら必要ねえ。次のお前の任務には、こいつも関係あるからな」
「そうですか…では」
ジンのことは気にしなくても大丈夫だと解釈し、加山は米田の前に立つや否や,謝罪の言葉を響かせる。
「申し訳ありませんでした、米
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